3 個々の部品についての注意

トランス

電源トランスのは高圧タップ(320V-0-320Vなど)がでているほうをシャーシの前にくるようにしてください。整流管への配線が楽になります。
私は,電源チョークA-4004は,少しでも,信号部と電源部の配線を離すために,端子の位置に注意して,図のようにレイアウトしていますが,それほど神経質になる必要はないようです。
その他の,トランスの向きですが,縦に付けても横に付けても,タムラ製作所のトランスなら問題ありません。
佐久間アンプを製作し,ノイズがでるのでトランスの向きを変えればよいか,との質問をうけます。たしかにアンプ製作の書籍などには,トランスの取付方法について説明がありますが,タムラ製作所のトランスはどの方向につけても問題ありません。
タムラ製作所ではない,小型のヒータートランスは,ノイズを出すことが多いので,信号部からはなして付けてください。 また,ヒータートランスはシャーシの中へ取り付けるよりも,見た目は好くないですが,シャーシの上に付けた方が,ノイズ防止面では非常に有利です。

真空管

真空管は発熱しますので,シャーシの前面に並べて,風通しをよくする必要があります。特に,整流管は風通しのよいところへレイアウトしてください。
たいていは,シャーシの右端にレイアウトしますが,トランスやオイルコンデンサーをあまり近づけないでください。メーカー製のアンプには,真空管の根元に空冷用の穴があいてありますが,とくに明ける必要はありません。
また,真空管を沈み込ませるようなプレートもあります。このプレートは見た感じを格好よくするためと勘違いされていますが,本来はノイズの影響を受けにくくする,通風をよくするためのものです。しかし,配線が面倒になり,場合によっては,配線が長くなるため,かえって逆効果の場合もあります。

真空管のソケット

真空管のソケットは,シャーシの下から付けるか,上から付けるかも決めてください。普通は下からつけますが,上から付けると真空管が大きく見えて格好がよいものです。佐久間流はたいてい上からつけます。
ソケットの向きは,配線しやすいように,シャーシの底のほうから見てグリッドが左にくるように取りつけてください。
なお,シャーシの前面には,入力端子,ボリューム,出力端子,ハムバラなどがつきます。これらとソケットがシャーシの中でぶつからないように注意してください。

直熱管のハムバラ

ハムバラはシャーシの前面に付ける方法とシャーシの上面に付ける方法があります。
前面に付けるほうが配線が楽です。
どちらがよいか,また,どのへんにつければよいか悩む場合は,配線をしながら位置決めをしてもいいと思います。ただし,シャーシに塗装した場合は,塗料がはがれる可能性もあります。

入力端子

入力端子は入力トランスの近くにつけてください。
イコライザーアンプの場合は入力端子と入力トランスが近ければ近いほど好結果を得られます。

出力端子

普通は,赤がプラス側,黒がマイナス側です。
シャーシには,赤を左側,黒をその右側へ付けます。
二つの端子は,指でまわしやすいくらいの間隔に取り付けてください。
出力トランスの2次側とスピーカー端子を結ぶ配線は,どこを通しても問題ありません。
出力端子をアンプの前面につけた場合には,出力トランスからスピーカー端子までの配線は,ほとんどの場合,入力から出力トランスの1次側までの配線の近くを通ることになりますが,この線だけは,「信号は左から右へ」の例外になります。 さすがに,イコライザー素子の付近やグリッドの近く,また電源に近いところを通すのさけましょう。
つまり,出力端子は,入力端子から離れていれば,どこにつけてもかまいません。もちろん,シャーシの背面や横,出力トランスの近くにスピーカー端子を取り付けることは,一番理にかなっています。
本章の図にもスピーカー端子は記入していません。ただ,アンプの背面に付けた場合は,アンプの調整などのアンプを倒すときに,スピーカー端子が邪魔になります。
また,前面に付ける場合は,真空管のソケットなどに当たらない位置に付けなくてはいけません。

スイッチ,ヒューズボックス

スイッチやヒューズボックスがつくあたりには,整流管のソケットが来ることがよくありますので,ぶつからないようにトランスやソケットを付ける前にレイアウトに余裕をもたさせください。とくに整流管83などの水銀入りの真空管には,主電源スイッチとB電源スイッチ,それにヒューズと3つ部品が整流管のソケットつきますので,注意してください。
私は,ソケットをシャーシの前面から余裕をもって取付,そのあとで,実物を確認しながらスイッチ,ヒューズボックスの取付穴をシャーシに開けています。

ダイオード(整流器)

ダイオードもたいていはシャーシ内部の側面につきます。
これも,ハンダ付けの途中で適当な場所を見つけて取り付けてもよいでしょう。

コンデンサー

カソードにつけるコンデンサーはホーロー抵抗に付けますので,ラグ板板はいりません。5691のカソード抵抗もアース母線を利用しますので,ラグ板は不要です。
ヒーターのコンデンサーのうち真空管に近い方は,理論的には,真空管にちかければ近い程良いのですが,あまり気にする必要はありません。コンデンサーを真空管のソケットへ付ければハンダ付けは楽なようですが,真空管の熱でコンデンサーが劣化するのでしてはいけません。

デカップリングコンデンサー

デカップリングコンデンサーは電源部に含まれます。
このコンデンサーの働きからすると,信号部に近づけた方がよいのです。しかし,ノイズの発生源でもあります。
なおこの「作り方」で「ノイズの発生源」と呼んでいる部品は,配線する場合に,その部品を出来るだけ遠ざけて配線をしたい,という意味で使用しています。アンプの中にわざわざノイズを撒き散らす部品をつけている,ということではありません。
どこにつけるか迷いますが,実際は,チョークトランスの端子を利用してハンダ付けすると便利なので,配線途中でおのずと位置は決まってきます。
デカップリングコンデンサーのはじめから位置を決めるのではなく,配線作業をしながら,できる限りノイズが少ないような位置に臨機応変に付けたほうががよいでしょう。
配線のところで再度説明しますが,デカップリングコンデンサーは必ずアース母線にハンダづけされるので,実際の部品は,シャーシから浮き上がって空中配線のようになります。シャーシから位置的に離すことでノイズの影響を軽減して配線します。

オイルコンデンサー

電解コンデンサーは,あまり高温になるところに付けてはいけません。ぎゃくにオイルコンは暖まった方が,音は良くなります。ふつうは電源トランスの横にならべて取り付けます。
なお,デカップリングコンデンサーにオイルコンデンサーを使用している作例がありますが,電解コンデンサーと交換しても問題ありません。

大型のブロック型電解コンデンサーには止め金具が付いています。
この取り付け金具は,端子(配線コードをつなぐところ)と,すこし離した方が良いとされています。
シャーシの中へブロック型の電解コンデンサーを付けるときは,電解コンデンサーの頭の方へ金具を付けたりします。
また,電解コンデンサーの頭を直接シャーシに付けるのも良くありません。スペサーで浮かすなどします。
これも,現実には,ほとんどアンプの音色などに影響しませんし,これによってトラブルになることもありません。

ラグ板の位置

回路図で,部品が3個以上ひとつの点が接続されている個所は,実際の配線ではラグ板が必要になる場合があります。
回路図7-1をご覧ください。



点Aから点Eは,それぞれ3つの部品からの配線がひとつになっています。こういうところにラグ板の設置が必要な場合があります。
A点では,真空管のカソードからの配線,カソード抵抗,カソードコンデンサーを1つにハンダ付けしなくてはいけません。しかし,A点では配線の工夫でラグ板をなくすことができます。下図のように,実際の配線では,抵抗とコンデンサーを両方とも直接真空管のソケットにハンダづけすれば,ラグ板は不要となります。

同様にB点では,下図のように抵抗とオイルコンデンサーをソケットのプレートの端子へ,E点では,オイルコンデンサーと抵抗をソケットのグリッド端子へハンダ付けすることでラグ板は不要になります。

C点は,トランスの端子に抵抗とコンデンサーをハンダ付けすることができます。
同様に,カソード抵抗が20Wのホーロー抵抗の場合,抵抗自体が金具でシャーシに固定されているので,抵抗にカソードコンデンサーや真空管への配線をハンダ付けしても問題ないのでラグ板は不要です。
しかし,D点やE点では,ラグ板の設置が必要です。

ラグ板が必要なら,また,必要になるかもしれない,と考えたら事前にシャーシに穴を開けておく,ということになります。
配線をしながら随時ラグ板を設置することも可能ですが,ラグ板が必要な場所は配線が入り組んだりすることも多く,配線をしながらの穴あけはたいへんです。
特に,ヒーターのDC回路では,交流を直流に変換するために,電解コンデンサーを複数使用し,ラグ板の設置位置が配線のしやすさ,つまりトラブル回避に密接にかかわってきます。
部品のレイアウトが決まったら,コンデンサーや抵抗を回路図を参考に配置してみてください。小さな部品だからなんとかなるだろうと思っていると,どうにも解決策が無くなってしまいます。
トランスや真空管はこのように配置すればよい,というのは,これまでの説明のようにはっきりしているのですが,ヒーターのDC回路をどうするか,という問題は個々のアンプで異なります。
詳細はヒーター回路の説明でもお話しますが,東日本と西日本の家庭用電源の周波数差で,佐久間さんの回路図どおりでは,西日本ではヒーター電圧が高くなってしまいます。電圧を下げるには抵抗が必要になりますが,佐久間さんの回路図にさらに抵抗が加わることになり,部品レイアウトやラグ板の設置位置はさらにややこしくなってきます。
回路図には描かれないラグ板を考えることは,そのアンプが作りやすいかどうかを考えることと同じと言えます。


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