845ドライブ845プッシュプルパワーアンプの製作

はじめに

MJ無線と実験,1989年10月号に発表された845ドライブ845プッシュプルパワーアンプ。
オーディオに興味のある方なら,845ドライブ845プッシュプルと聞くだけで,すごいアンプであると分かるはずです。
DHに寄せられるアンプの自作に関する相談メールで一番多いのが,「845ドライブ845プッシュプルアンプを自作したいのですが」という内容です。

300Bや50もいい音をしますが,真空管アンプの愛好者なら,いつかは211や845のアンプを持ちたいと考えるはずです。 845が3本も並んで,1000Vで駆動するアンプですから,たいていの人は自作に二の足を踏むのですが,実は,佐久間さんの作例でも作りやすいアンプです。
というのは,パワーアンプなので,プリやプリメインに比べて配線が簡単。
高圧ケーブルで配線するので,通常のACケーブルより半田付けがしやすい。
845は中国製など入手が簡単などの理由からです。

一方,製作を躊躇する理由は,なんと言っても1000Vです。しかし,考えてみると,300Vのアンプでも,危険は危険です。1000Vだから危険,というのは,万が一感電したら,ということを想定しているのですが,そもそも自作アンプで感電するのは,完全に自作者の不注意,不勉強です。1000Vの電圧といえども,ルールを守って製作すれば使用上問題のないアンプに仕上がります。

次に問題になるのが,サイズと重量です。このアンプはは通常の奥澤01シャーシではパーツが収まりません。奥澤等へ,600ミリ×350ミリ×80ミリくらいのシャーシを特注する必要があります。奥澤は良心的なお店ですから,単なるシャーシだけで穴あけ加工なしなら,さほど価格も高くはないと思います。
また,シャーシのサイズが大きくなるので,アンプの重量も重くなります。45キロくらいになると思います。

最後に,佐久間さんのパワーアンプはCDのヘッドフォン端子から入力するので,ヘッドフォン出力を持たないCDプレーヤーでは使用できない,ということです。
このような事柄を念頭においておく必要があるのですが,これまで数人の方,それも,キットを作っただけの人がこの845パワーアンプの製作に成功されています。
万人向けではありませんが,以下にその方たちへお送りしたメールから,このサイトの今までの説明で述べなかったことを中心に記載します。
なお,もし実際に製作される場合,疑問点などがありましたら,パーツ購入の前に,DHへメールで質問してください。

トランスの交換について

佐久間さんのアンプは特注のトランスが多用されていますが,サン・オーディオ取扱のトランスで製作することが可能です。

電源トランス → PSC-900
チョークトランス → SA-3000(2個) A-4004(1個)
ヒータートランス  → 0.1H 3.5A
ドライバートランス → STU-5K
出力トランス → F-2012

出力トランスは,佐久間さんのアンプは2回路同時負荷になっています。回路図を見てもおわかりのとおり,スピーカー側でもアッテネーターが2台必要なります。このトランスは製作が困難を極めるため,タムラでは特注に応じてくれません。
通常の出力トランスに変更していますが,家庭で使用する場合にはこれでも十分な音色だと思います。

シャーシ加工,部品取り付けのヒント

ドライバー845のヒーター用ブリッジ(ダイオード)と抵抗の位置を,出力トランスの隣のA4004の下に設定していますが,これは配線の途中で付けた方がよいように思います。
その場合は,塗装したシャーシの場合,塗装がはがれないように注意する必要があります。なお,プラサフを吹いて,クリアーも吹いてある塗装の場合は,ドリルで穴を開けたくらいでは,塗膜がはがれることはありません。

オイルコンデンサーの取付金具の穴は,まず片側の金具ひとつ分だけを最初に穴あけしてください
オイルコンデンサーと取付金具のサイズを測って穴を開けると取り付けのさいに窮屈になることがよくあります。

手順としては,以下のようにするのが安全です。
1 型紙などに従ってセンターポンチを打つ
2 オイルコンデンサー本体の端子の穴(20mm)をふたつあける
3 オイルコンデンサー本体を置いてみて,止め金具をつけてセンターポンチの穴が,止め金具の真ん中くらいにあるかどうか確かめてください。
1個のオイルコンデンサーがOKならほかのものに応用してください。

カソードのホーロー抵抗も,実物をあてがって確認してください。
止めネジの太さは4mmです。

トランスの止めネジは,穴がずれたら丸ヤスリで広げてください。
トランスの四角い穴は,タムラの指示通りですと,ちょっと窮屈です。

ソケットやON製の入力端子は,まず,本体の穴を開け,取付ビスの穴は本体をガイドにして開けてください。
入力端子の穴は2ミリです。端子本体に接近しているので,注意してください。

コンセントへの電源ケーブルの出口ですが,パワーアンプの近く,シャーシの裏面または側面に開けてください。

整流管ソケットの取付はソケットのセンターの切りかけはパワートランスの方を向くようにしてください。
取り付けのネジ穴は前後になります。

845ソケットの取付は山本音響工芸製テフロンソケットの切りかき(または,穴)が前面を向くように付けてください。

スイッチ,ヒューズは付けたときに整流管のソケットにあたらないか確かめてから,穴開けをしてください。

ハムバラは845のソケット付近に付けてください。
位置は845ソケットの取付ネジはあまり長いとハムバラなどに当たるので注意してください。 スピーカー端子はお好みのもので結構ですが,ソケットとの位置関係などに注意してください。 入出力端子やハムバラ,ボリュームは現物を見て確認しないと,取り付けた場合にソケットとあたったり,配線がしくくなったりします。


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