朝気がつくと思議な気分になる事がある。

山ヴァージョンと、デパートヴァージョンの夢を繰り返し見る。

山は   腰の曲がった、Uの字を逆さにしたようなおばあさんが
すごいスピードで  どこまでもどこまでも、
逃げても逃げても追いかけてくる。

自分はそのたび、
夢だとは気がつかず必死の思いで逃げている。
草をかき分けかき分け
生い茂った木の中をひたすら逃げている。
やっと一つの山の中に一軒の小屋が見つかり
その中の押し入れに入る、
ホッと一息ついていると、
ガラーッとふすまの戸を開けられて
恐怖の絶頂で目覚める。

デパートヴァージョンは   若い男の人で、
やはり自分は
デパートの人ごみをかき分けかき分け
必死の思いで逃げ回っている。
やっと振り切ってエレベーターに飛び入り
ホッとしたところ、
つぎにスゥーッと開いたエレベーターの外には・・・、

とやはり恐怖の絶頂で目が覚める。

後一つは受験の夢。

振り返ってみてもそんなにプレッシャーだったとは思えないのに、
夢の中の自分は
受験が目前に迫っているというのに
何にも勉強しないで
「どうしよう?」と途方にくれている。
あのゆきばのない不安な気持ち。
起きてからもしばらく
「どうしよう?」
と沈んでいる自分がいてだんだん覚醒してくると

「ああ、もうそんなこと今になって悩むこと何にもないんだ。
自分はずっと昔にちゃんとそれをクリアーして、
今こうしてここにいるじゃない」

と、だんだん安心して行く。


過去のつらい現実の思い出を
一生懸命夢の中で悲しんでいることもある。

「もうがんばらなくっていいいんだよそんなに」

と誰かに言ってもらえれば、
こんなに何度も何度も悲しまなくてもいいのに
夢の中の自分は同じ思いを繰り返し、
そのたびに途方にくれ、
天井を見上げながらねっころがって
ぼーっと涙ぐんでいる。

「ああこれが夢であればどんなにいいだろうに」なんて思っている。

楽しい夢はあまり見た覚えがない。

夢の中の自分はいつもつらく、悲しく、やるせなく、せっぱつまっている。

現実の自分の反映かなぁ

いつも息を抜かずにいきてるのかなぁ

他人からは結構気楽そうに見られているのになぁ

1997.4

 

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