静かな夢を見た

静かな夢の中で

私は

幸せだった

田んぼが一面に広がっていた。
刈り取った稲の跡があった
たぶん季節は秋の終わりか冬・・・。
そのただただ広がっている田んぼを
二人で歩いていた
私は並んで歩きながら
その静かな語り口に黙ってうなずいていて
うなずいている私は
幸せだった
田んぼの中をゆっくりゆっくりと
話は尽きない・・・

次の場面では
どういうわけか
田んぼの中に一軒の家があった
二階には何もなく、
大きな大きなガラスの無い窓がぽっかりとあいている

そこから見る景色は
どこまでも続く雲ひとつない青い空
そしてその下には・・・
やっぱり一面に田んぼが広がっている

私達二人は土が露出した壁に並んでもたれて座り
話をしていた
そうして静かに話す言葉にうなずいて、
うなずいている私は
とても幸せだった

ふと
窓から外を見ると
猫が二匹同じ方向を、遠くを見る眼で並んで座っている
こちら側の猫の色はグレーだった。
ひたすら街の方向を見て座っている

その時
「あの猫の飼い主と一緒に街に行ったのだけれど・・・」
「もっと遠くに行くって言ってたから帰ってこないんだよね」
「かわいそうに・・・」
「待っても待っても帰ってこないんだよね、かわいそうに」


あの人が
悲しそうな顔で言った

・・・そうして目が覚めた

泣きたいほど幸せな夢から目が覚めた・・・


2002.1

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