Lowther



●注意:この記事が書かれたのは1992年です。ユニットの情報など、現在とはことなっている点もあると思われます。ご注意ください。

プッツン・シンドローム

 一番よく知られているのは、或日突然切れてしまう、ということだろう。
 披害者は多い。
 あまりに切れるので、これではかなわないと予備を買っておいた人がいる。案の定、或日突然切れたので予備のに付け替えたところがそれまでも…切れていたのである。
 また、ある人がローサーを買おうとしたところ、「当店では、直接来店していただかないと売れない」といわれはるばる出かけていったところが、その店にあるローサーはどれも鳴らなかったらしい。
 当の御本人から聞いた話である。
 この私も別の店で同じような目にあった。ローサーに関しては定評のある店だったが、店内の6個のユニット全てが鳴らなかったのだ。

正体不明

   次なる不思議は、ローサーそのものの正体がよく分からないことである。
 知っている人には何の不思議もないのだろうが、コンコルドに集まって「私の持っているローサーは…」「いや、僕のは…」と、私のようなのもまじってやるものだからややこしくなる。
 みんなローサーの本物(?)を持っているだけに混乱をきわめている。
 会社自体にしても、大きなメーカーだと言う人もいれば、ほとんど家内制手工業だという人もいる。会社の正体が分からないくらいなので、製品もどんな物があるのか、よく分からないようである。
 次のローサーのスピーカーユニットの一覧をご覧いただきたい。私が個人輸人した際、見積書と一緒に送られてきたカタログからの引用である。

TypeGap flux
(gauss)
Total flux
(maxwells)
SensitivityWeight(kilos)
PM2 Mark12100028100095.56
PM2 Mark22300035000096.58
PM3
for TP1 only
2100028100095.510
PM3/5
for TP1 only
23000???
PM42400038500097.08
PM61750019600094.03
PM6 Mark1
Silver voice coil
1750019600094.03
PM71960025000095.03

 このカタログはモノクロでユニット写真の写りも悪いことから、少し古いものを流用しているのかもしれない。
 なお、見積書には、このカタログにはない、PM2”C”(フェライト)PM6”C”(フェライト)、PM6”A”(アルニコ)の名がある。日本の古いオーディオ雑誌をみていると、これ以外にもいくつか造っていた(いる?)ようである。


 スピーカーの造りにも大変不思議なところがある。内部の配線だが、きわめて細い線が便われている。
 線の材質には、何種類かあって、銀線を絹糸で巻いたものもある。オーディオベクターの新型は全面のスピーカーにいくまでに20Wくらいのポリューム(アッテネーターではない)が入っているが、まったくガリのこない代物である。旧型が泣きたいくらいポロボロの抵抗だったのに比べると進歩(?)している。
 しかしこれとて、スピーカーケーブルの太いのを苦労してつけても、その苦労を無にしてしまうこと必定である。第…スピーカーの端子の穴がとても小さく電源コードあたりが一番ぴったりくる大きさだ。
 このように、ローサーはユニットでは凝ったことをしているのに、他の所ではどこかぬけているようなところがある。
 たとえば、PM4などはごたいそうな足が付いているが、これとユニットとは、たよりない3ミリほどのビス2本でとめてあるだけで、しかも、私の物は加工が悪く、穴を開け直したあとに、ねじを強引にねじ込んでとめてある。とてもプロの手になる代物ではない。
 なお、PM4は最高ランクに位置するものだが、イコライザーの取付けポルトに鉄が使われている筒所があり、ローサーの創設者自身はPM2の方を気に入っていたという話も聞く。
 しかし、私としてはPM4の強大な磁石とナスビのようなスタビライザーか伝わってくる、なみなみならぬ追力から、やはりPM2の以上の底力を持ったユニットのような気がする。

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