■ MaSaNa's OUT DRIVER ■
『山方町から馬頭町へ』
 九月一日、僕は弟を助手席に乗せて、国道118号線を北に向かった。山方町のコンビ
ニで食べ物を買い込み今日のスタートとした。
 山方町の下小川キャンプ場の裏からタバッコ峠へと向かう。地図によると猪ノ草から先
では道が途切れているが、弟の話によるとタバッコ峠まで全面舗装で開通しているそうだ
。久隆川沿いの小道を登って行くと左手に林道が現れた。入り口には『松沢林道』の標識
がある。久隆川の支流に沿って林道は続いている。作業場を越え、ギャップを越えて行く
と道は約1.2km で広場になって尽きていた。右手には支流を越えるコンクリの橋があり、
さらに作業道が続いているが車で入って行ける道ではなかった。
  再び久隆川沿いの道に戻り、走り続けた。道の両側には延々と民家が点在している。久
隆の集落を過ぎて間もなくY字路が現れた。弟によると左の道がタバッコ峠へと続いてい
るという。地図を見ると右の道は愛后山で途切れているが山頂の先に再び道がある。もし
かしたら続いているのでは・・・と思い右の道を行く事にした。久隆沢という集落では、
道端で小学生が絵を描いていた。そういえば、今日は夏休みの最終日なのだ。
  その集落を越えると道はダートになった。道には時折、ギャップや溝が現れる。一気に
山頂近くまで上りつめるが景色はあまり望めない。峠を越えたのか道は下り主体になって
きた。一箇所、崖崩れしている場所があったが乗り越えて進むのに苦労はしない。
  しばらく下りると林の向こうに伐採作業中のおじさんが見えてきた。近付いて行くと、
10cm程の細い木を切り出して林道上に並べていた。少し手前に車を置いて、歩いて行って
みると「今すぐどけっから。悪いねー」と言う。「こんなとこ通ってきてすいませんね」
とか言って間におじさんは端から次々と木をどけてくれる。
  ぎりぎり、通り抜けていくと製材所の前にでた。後はどんどん下りていくとT字路で県
道にぶつかった。上小川からタバッコ峠に抜けるもう一つの県道だった。結局、愛后山を
越えてきたのだ。県道は人沢川に沿って上っていく。タバッコ峠は堀通しとT字路がある
だけの素っ気ない峠だった。タバッコという一風変わった名前に関する石碑でもあるかと
思ったがそんなものはなかった。
  タバッコ峠からの県道は一直線に高度を下げていく。右手に尺丈山林道という林道をみ
つけて入っていったが、1km程行った林の中で薮に覆われて先を阻まれてしまった。
  再び県道を南下していって仲河戸という標識を頼りに右折して、全面舗装の峠を越えて
行くと、集落にでた。道端の標識によると仲河戸上とある。これも地図には出ていない道
だった。
  タバッコ峠は東河戸川の源流にあたり、この道は仲河戸川に沿って走っている。更に西
には西河戸川があるのは御想像の通り。仲河戸川沿いに上っていくと先程から看板が目に
ついていた『ピジョン美和』にでた。小さな駐車場には小さなログハウスがあった。看板
によるとここは子供が生まれたのを記念して植樹する森林になっていると言う。
  道は尺丈山の西側を越えて行く。ダートだがひどい荒れ方ではない。しばらく行くと林
の中の道から畑沿いの道にかわり、やがて黄門道路と呼ばれる道にT字路でぶつかった。
  正面のオジサンがこちらを見ているなと思ったら突然、股間から放水を始めた。ぼけて
いるのか庭から道路に向かって放尿を始めたのだ。二人で顔をしかめつつ、右折する。
  黄門道路をしばらく北上し、光崎で左折する。林道の様に狭い道だが全面舗装され車通
りも多く、生活道路のようだ。途中、左に林道を見つけ入っていく。砂川林道という。両
側に杉並木のような植林の間を抜けて行くとY字路に出た。右の道は砂川林道支線だが雑
草に覆われている。左の道は真新しい画用紙で『キャンプ場』という案内が張り付けてあ
った。左の道をどんどん上りつめていくと小屋があって行き止まりになっていた。正面に
は作業道具を満載したファーゴが停まっている。むこうから作業員がやって来る所だった
。ファーゴの向こうには整地されたような丘陵になっており、どうもキャンプ場の開業準
備をしているようだった。
  元の道にもどりしばらく行くと左に橋を越えて山に入っていく林道があった。ここは入
り口に盤城屋林道という標識があった。深い溝のある坂を上っていくと作業場にでた。作
業場の先では段々と雑草が密度をまし、遂に行く手を遮られしまった。
  日が暮れ始めていた。鷲子山の山頂近くではものすごい太さの杉が残っていた。しばら
く行くと鷲子神社の入り口だった。看板でこの神社の概略を読むと、ここが鎌倉時代から
の神社であり、その為、原生林として巨木が残っているのだという事がわかった。ここは
修験道の山でもあるという。
  国道392 号線に出て、南下。美和村の花立山自然公園に寄るが、もう日も暮れていたの
でそのまま大宮町に出て帰った。

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