■ MaSaNa's OUT DRIVER ■
『奈良・和歌山』その1
 4月28日18時半、ちびまるこちゃんが終わると同時くらいに家を出て海老名へ向かう。
松戸で事故渋滞にあったのとR246三軒茶屋が渋滞したのをのぞいては比較的、道は空いて
いた。ましてや、150km という距離は最近では大した距離感ではない。23時に海老名の大
久保宅に着いた。

  今回の奈良・和歌山行きは修験道や後醍醐天皇ゆかりの場所を訪ねるつもりだ。今年の
ゴールデンウィークこそ念願の北海道に行こうと思っていたが、一ヵ月程前から急に奈良
・和歌山に行って見ようという気になってしまった。
・・・というのも、元々僕はSF小説はともかくもオカルト・ミステリーの類には全く興
味のなかった僕がここのところ、どうした訳かそれらの本を数冊読んでしまったのがきっ
かけであった。
 まず、同僚のすすめで読み出した『ティーパーティーシリーズ』がある。これは少女向
け小説なのだが作者の趣味で随所に安部清明等の名前が飛び出してくるものであった。
 その後、4WD仲間の中でジープCJ−7が活躍する『峠(たわ)』という西村寿行の
小説が話題になったのだが、その後半で山伏、修験道等の世界に入ってくる。
 この二つのシリーズをキーワードに陰陽師、山岳霊場、後醍醐天皇、鬼、等の作品を読
み漁るにつれ、どの作品にも共通する舞台である、奈良から和歌山への、すなわち吉野か
ら熊野にかけての山岳霊場、奥駈け道等を見てみたくなったのである。
・・・で、地図を見てみると該当エリア内には忍者屋敷、伊賀城のある伊賀上野、映画『
天河伝説殺人事件』の舞台である天川などもあり、いつの間にかルートは引かれていた。

 4月29日朝、予定より少し遅れたが4時10分に海老名を出る。伊勢原でR246に出、西へ
向かう。トラックの多い早朝のR246をひた走る。
  R246から沼津で国道1号に乗り、富士川バイパスを渡り、静岡の街を過ぎた所で左に折
れ、R150の更に旧道に入る。ここは大崩海岸といって晴れていれば見晴らしがいいのだが
折りからの雨で視界はよくない。muにとっては狭いカーブは、路面が雨で濡れている事
もあって思いの他に緊張した。御前崎で一旦、R150を外れ海岸沿いに走り、また戻る。浜
松で国道1号に合流した。9時だった。
 浜名バイパスを渡りきった先の『サークルK(静岡県下に多いコンビニ)』で一休み。
運転を大久保氏に代わってもらう。岡崎、安城、知立と過ぎて豊明を過ぎた所でR23に入
る。R23は名古屋湾をグルリとバイパスしていく。名古屋港も過ぎて、時間も昼時になっ
たので、飛鳥村の『丸久』という店に入った。
  きしめん定食に天プラがついて 800円というのは取り敢えず安い。本家きしめんには大
量のカツオブシがのっている。これが自宅で作った時との大きな違い。
何故か天ツユがついてこず、天プラをソバつゆにつけて食べるのかどうか分からず回りの
目を気にしながら天プラに醤油をかけて食べてしまった。多分、本当は天プラをきしめん
の温かいつゆに浸して食べるのか本当だったのだろう。
  四日市でガソリンを給油し、更に前進した。
  鈴鹿で去年と同じミスコースをしつつ、阪名国道ことR25に入る。実はここまでは去年
の四国行きと全く同じルートだ。
 R25を下りて伊賀上野に入る。上野城の前で14時だ。一度、城の前を通り過ぎてしまい
、狭い路地でUターンする。上野城の市民駐車場は一杯だったので通りの反対側の民間駐
車場に車を置いた。城への坂を登っていく。まずは忍者屋敷。何かアトラクションの準備
中だったので取り敢えず中に入る。忍者屋敷は400 円也。
  案内役は赤やらオレンジやらの忍者装束に身を包んだクのいちバイト嬢だ。ドンデン返
しの板戸や地下への抜け道などを実演して見せる。地下におりると忍者資料館。密教、陰
陽道から忍者への発展が図表になっていたり、忍者の道具等が展示されている。
  忍者屋敷を出ると表ではアトラクションをやっていたが、もう終わり近くだったので、
そのまま裏手の忍者科学館に向かう。ここは忍者というより、目の錯覚を利用した、お遊
びのコーナーだった。ただ、忍者の歴史について記したコーナーがあり、それは表の歴史
とからめて簡略によくまとまっていた。
  忍者科学館を出て、上野城へ向けて歩く。途中、芭蕉を記念した俳聖殿を右に見つつ歩
いて行くと上野城。拝観料 300円也。
  江戸時代の城で、現在の建物は昭和になってされたものということだ。
  城を下りて、町に出る。ガイドブックが無いとだめだという事になり、城の天守閣から
見つけた本屋へ行ってみる。店を出て、『こっちの女性は白い』と言ったところ大久保氏
の反撃にあってしまった。

  JR伊賀上野に回り16時に出発する。快適に飛ばせるR163を西進する。途中、左側を流
れる木津川に沈下橋を見つけたので下りてみる。橋の先は飛鳥路という集落を越して柳生
の里にまでつながっているが、取り敢えず国道に戻って西進する。木津川沿いの関西本線
を中距離電車が通り過ぎていった。

  笠置橋でR163を左折し、クランクを過ぎると笠置温泉だ。狭い路地を抜けると左側に笠
置山の入り口があった。17時まで車進入禁止という標識があった。あと、30分程だったの
で先に柳生の里に往復する事にした。

  柳生の里までの道は1〜1.5 車線と狭い。屋敷等は既に閉まっているので、サッと見て
通り過ぎた。集落を過ぎた所にある民宿三浦が以前、大久保氏が家族とともに泊まった所
だという。民宿三浦の裏手にある神社に続く林道に車を乗り入れたが、農家のトラックが
止まっていたのであきらめた。

  笠置への帰り道、川端のバス停のそばに車を停めた。細い川には橋が架かっており、歩
いて対岸に渡る事が出来る。行ってみると石碑と看板がある。看板によると『東海自然歩
道』の一部らしい。

  17時を回ったので笠置山に登る。道は巾が一車線しか無く、カーブもきつい。勾配は更
にきつい。道は山頂間近の松本亭の所で終わり。ここから先は歩くしかない。もう日が暮
れかけているので、山門を見るだけにする。
  松本亭の下には3台程のスクータが停まっている。従業員はこういうのがないと通勤で
きないんだろう。標高288mとはいえ、視界には山しか見えない。
  再び笠置の町の狭い路地を抜け、今度は奈良市へと向かった。

  正面にうっすらと春日山が見えて来ると奈良だった。雨が降り始めていた。JR奈良駅
に向かう。市の中心である近鉄奈良駅そばの駐車場に車を置いて夕飯を食べる事にする。
 奈良のアーケードを右往左往し、決めたのが『はぎのや』だ。ウナギの寝床よろしく、
奥に細長い店内の一番奥の一角に座らされた。寿司、そば、定食なんでもありのお店で値
段は高めだ。刺身が食べたかったので和定食を頼む。1550円也。

  奈良を出て、寝る所を探す。・・・と言っても泊まる訳ではない。寝場所を探すだけ。
西阪奈自動車道の香芝SAに行く事にする。国道沿いのコンビニを探しつつ南下するが、
なかなか見つからず、5km 程走ってやっと見つかったローソンで明朝の準備をする。

  西阪奈自動車道に入り、香芝SAにて寝る。大久保氏はトランクにマットを敷いて毛布
をかぶって寝る。ボクはフロントシートに寝袋にて寝る。21:20 だった。

  明けて4月30日、雨は上がっている。昨夜、仕入れておいた朝食を食べ、SAの手洗い
で朝食を済ませると出発。時間は7時ちょうど。

 柏原ランプは封鎖されているので、藤井寺ランプまで行っておりる。ランプから応神天
皇陵へ向かう。天皇陵はすぐに見つかった。裏手に回り込む為に狭い路地に入り込むと、
運の悪い事に中学生の通学時間にぶつかってしまい、巾のあるmuで通り抜けるのに大久
保氏は四苦八苦させられた。
 R170に出て、ちょっと南下。古市という所からR166へ入るがこの道は時間通行止めかな
んかの旧道で、狭い路地を走らされた。橋を渡った所で県道へ右折。途中、昭和の交差点
を行きすぎてUターン。9時には叡福寺についた。ここは聖徳太子をまつってあるのだが
建物自体は新しかった。
 ここから推古天皇陵へ回るが、天皇陵は住宅地の中にこじんまりとしていた。天皇陵の
裏の道をズンズン上がって行くと小野妹子の墓へとたどりついた。
 地図を見ると、ここから『畑』という集落へ抜けると書いてあるが、行ってみると鳥居
と石壇のある広場で行き止まりになっている。車を停めて左の畑地の方へ歩いて行く。林
を抜けて畑にでると頭上からサンサンと光りが降り注ぐ。目の前にはゆるやかな稜線をも
つ山。海の方を見ると白い塔がそびえている。塔はどうやらPL教団のものらしい。
 車に戻ろうとすると原チャリのオジサンがやって来た。ここに車を置かない様に注意し
に来た訳だ。僕が「畑(はたけ)という集落に行きたいんだけど・・・」と言うと「『は
た』なら一本下の道だ」と関西弁のアクセントで言う。
 大久保氏が石壇について聞くとあれは井戸とかではなく祭りの神輿を置く台だという。
 オジサンの説明通り行くと工事区間を過ぎて『畑』もすぎて岩橋山へ続く道に出た。ち
ょっと山道を登ると高貴寺に出る。そこは役行者(えんのぎょうじゃ)ゆかりの寺だとい
う。岩橋山、平岩峠のある右の道へと車を進める。右手に用水路、左手は土手。muの幅
いっぱいの道だ。
 苦労して狭い石橋をり、今度は左手に用水路、右手に林をながめつつ登っていくとカー
ブの先に2台の軽トラが見えて来た。回りに、人もおらず、どけて貰えそうにないので、
Uターンする事にする。
 幸い数m後ろに下がると林業用らしき作業場があったのでテールをつっこみ、前輪を用
水路のフチに乗せながらUターンする。
 県道に戻る。『ワールド牧場』や『かつらぎ霊園』の看板を見つつ旧街道のような県道
を南下する。R309に合流して御所方面へ向かう。
  水越峠を上りきる。下りはきついカーブと急な坂が続く。左手に『祈りの滝』という滝
があった。車をとめる。ここもまた役行者ゆかりの地であった。滝の脇に湧き水がある。
地元の人らしき人がポリタンクに水を汲んでいく。観光案内板の上にけもの道をみつけ上
っていってみる。道は林の中で消えていた。
  山肌を折り返しつつR309は高度を下げていく。所々、工事中になっている。ふもとの交
差点を当麻(たいま)の案内に従って左折した。ほんの少しいくと『一言(いちごん)さ
ん』の標識がある。一旦、右へ下りて県道をくぐって行くと『一言さん駐車場→』と書い
てある。ここに車を置いて歩いて神社まで行く。一言主(ひとことぬし)神社のことを地
元では『いちごんさん』と呼ぶらしい。
 ここは役行者の生家と聞いていたが、実際にはそれを示すものは何もなかった。境内に
は大きな銀杏。この神社の前の道は『熊野古道』にあたり、そのため二人のバックパッカ
ーに会った。それならば、この道を逆行すれば葛城山ロープウェイ乗り場の方に出られる
かと行ってみたが途中の集落から先は歩いてしか通れないようだった。

 地図を見ているうちに千早赤坂村に行くには今来たR309を戻らなければならない事に気
がついた。
  水越峠を越えて千早赤坂村に入る。ここは大阪府唯一の『村』だそうだ。千早赤坂村は
今NHKで放映中の『太平記』の影響でそこかしこに『太平記の里』の旗が立っている。

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