■ MaSaNa's OUT DRIVER ■
「御前山周辺と青麻山林道」

 6月15日、久し振りに御前山方面に向かった。今回は川原には行
かず、最初から林道中心で行くつもりだ。那珂川大橋を渡り、集落
を抜けて行くと右側の小高い丘の上に真新しい御前山村の役場があ
る。この役場の下から奥に狭い道が続いていた。ここは全面舗装の
生活林道だった。
 途中で別の林道と立体交差しているところがあったので下りてい
く。下の道は今来た道をくぐった後、民家の先から下の沢まで草に
覆われた道が続いていてそこで終わっていた。
 元の林道に戻り、緒川村へと続く県道に出たところですこし北上
すると右手の農道に上小瀬林道の標識が出ていた。入っていくと緒
川という川を越えたところに百観音公園という新しい公園があった。
 車をとめて休む。看板を見ると、昔々不治の病にかかったある人
がこの山に百の観音を立てたのが始まりで、その後、徳川家などの
知るところとなって保護されていたのが最近になってハイキングコ
ースとして整備されたようだ。山中にいくつもの観音が点在してい
るらしい。本当にハイキングするとしたら一日がかりになりそうだ。
 林道という割には田圃の中をいく農道だ。しばらく行くと川東と
いう所で赤い橋に出た。川を渡っていって見るとちいさな集落に出
た。大きな民家と古びた看板の電気店に挟まれ県道側から見ると橋
の入口には見えない。また元の県道に戻ったのでちょっと北上して
左に見えた山道に入っていく。まっすぐ行くと工事中の林道と交差
して民家とお墓があるところまで行って行き止まりになってしまっ
た。将来は現在工事中の林道の方が舗装され、そちらが入り口にな
るのだろう。砂利が入っている工事中の林道を奥へと進んだ。民家
がとぎれたところで道は林の中へ入っていった。しばらく進むと両
側から草に覆われて道は終わってしまった。道は草に埋もれた古び
た神社で終わっていた。
 少しバックして右に見えた林道に向かう。こちらはダートだった。
草はきれいに刈りとられているがmuが入って行くには少々狭い感
じだ。林道はさんさんと日を浴びて草ムラの中を進んで行く。坂を
上りきったところで向こうに軽トラが見えたのでこれで林道も終わ
りかと思ったが近付いてみるとまだ林道は先に続いていた。結局、
何度か林道もここまでかと思いながら走り続けていくとやがて畑が
そして民家が見えてきた。民家の庭先をそーっと通り過ぎ、きつい
S字カーブを下りていくと眼下に広々とした畑地が広がった。
 畑の脇の用水路にそった道を走っていくと道は先程の県道に戻っ
た。 見覚えのあるSUZUKIの看板を横目に赤い橋の所まで戻り、橋
を渡って次の林道に向かった。地図によるとR394白岩峠の裏を行く
林道があるのだ。赤い橋を渡ったところは変形十字路になっている。
 右は先程来た上小瀬林道。正面は集落の中に消えて行く道。左は
山に上っていく林道。山肌にガードレールが見え隠れしている。左
の道をグイグイ上って行くと道は山の南斜面にそった緩やかな道に
変わり左右には学校やら民家が数多くある。
  しばらく行くとその道はセンターラインのある広い道に突き当た
ってしまった。どうも道を間違えたらしい。その広い道を北に向か
うとR293との交差点に出た。地図には出てない道を通ってきてしま
ったようだ。多分、さっきの赤い橋から集落の中に入って行く道が
目的の林道であり、今来た部分はガードレールのある急な坂の部分
が出来て最近開通した新しい道なのだろう。
 R293を水戸方向に向かうと正面の丘の向こうに高層ビルが突如、
見えて来る。ロックヒルゴルフ場の建物だ。異様な眺めだ。その先
に先頃オープンしたアリスの森という公園があり、広い駐車場があ
ったのでここで改めて地図を見て検討する事にした。
 手持ちの地図で現在地を確認した後、駐車場にある緒川村の観光
案内板を見ていると、『弥七の墓』という文字が目についた。水戸
黄門の弥七の事だろう。ちょっと行ってみようとメモをとってそこ
を離れた。R293を北上する。道なりに右折してすぐのT字路を左折
する。メモ通りに来たら上小瀬小学校で道が終わっていた。とりあ
えずUターンすると、小瀬城跡という字が目に入ってきた。本当に
県北には到るところに山城がある。
 目的のT字路はR293をもう少し北上した所にあった。左折し、し
ばらく行くと右側に観光案内らしい看板が立っていたので見ると
『徳川〇〇が手紙を見たところ』とある。緒川村というのは何かこ
ういう物を卒先して保護しているのだろうか?この先見に行く『弥
七の墓』にも一瞬、不安を覚える。
  広い県道に出た。メモにはこの道は無かった。さらに行くと道路
の脇に勝田・那珂湊と書いた青い標識が転がっていた。左側のペン
キ屋が置いたものだろう。まっすぐ進むと今度はT字路に出た。既
に地図上での現在地は把握できなくなっている。まぁ、いいやって
感じで南下する道を選んだ。
 そのうち長倉城跡何kmという標識が出た所でようやく現在地を把
握する事が出来た。しかし、左側に上っていく林道を見つけまた入
っていってしまう。峠に近い所では廃道に近い路面を見せるがわず
か1.2km で別の舗装された林道に戻ってしまう。
 この林道を北上したらさっき『弥七の墓』を捜しながら走った道
に戻った。しかし、素直に逆戻りすればいいのに、松之草から上国
長、下国長、小玉と農道をあちこちへ走りつなぎ、とうとう赤い橋
のあった集落に戻ってしまった。
 赤い橋まで行くと川原におばさんの乗った軽トラックが下りてい
るのが見えたので下り口を捜すと橋のすぐ下流に下り口があった。
しかし、ここは4WD ならともかく軽トラではたとえ4WD であっても
下りられるものではない。多分おばさんはどこかの庭先から川原に
下りたのだろう。
  川原で一休みしたあと、県道を北上していくと『弥七の墓』の矢
印が見えた。何の事はないさっき出てきた林道の出口にそれはあっ
た。林道を少し入った所で右折し、あとは道なりに進むと上小瀬か
ら来る道に繋がり、看板に注意しているとすぐに目的地はみつかっ
た。墓は県道から脇道に入った所の崖にあった。車は道の反対側の
急ごしらえの駐車場に置いた。弥七のモデルである松之草尖兵衛は
江戸時代の盗賊であったが、投獄されたおり光國公が殺すには惜し
い男じゃと見逃した為、松之草は水戸近辺での盗賊達の活動を抑え
させたという話があるという。
  ようやく『弥七の墓』を見つけた僕はあの白岩峠の裏の林道を思
いだし、県道を赤い橋へと向けて急いだ。橋を渡ったところで今度
は集落の間の狭い簡易舗装の道を入っていく。右側を流れていた小
川がなくなった所で道は林道らしくなってくる。何本か脇道があり
入って行ってみたくなるが明らかに行き止まりであり、草に覆われ
ているのでmuではちと心苦しい。これ以上の林道行にはJIMNY か
MTB あるいはoff bikeが必要だろう。
  大宮町に入った所の最初の集落で林道は終わっていた。ここから
地図には出ていないゴルフ場開発に伴って出来たと思われる新しい
道でR293に出た。
  再びアリスの森の駐車場によって地図を広げた。日はまだ高い。
これから回るとしたらどこがよいだろうか?緒川村とその北の美和
村には数多くの林道が存在するが、その多くはピストンコースだ。
その中で美和村から山方町へ抜ける青麻山林道が目についた。地図
で見ただけでその林道が沢と沢を分水嶺である峠で越えていく林道
である事がよくわかる。事実、青麻山林道は峠付近では海抜395mの
青麻山の山頂のすぐそばを通っている。
  上小瀬でR293を離れ、緒川沿いの県道を上がっていく。緒川の清
流と、いかにも日本的な山村風景が左右に続いている。しっとりと
した緑の山々と落ち着いた感じの農家がいかにも平和な雰囲気だ。
中桧沢の集落から青麻山に続く橋は地図に出ていなかったので、思
わず上桧沢まで行ってしまった。その代わり緒川の対岸の狭い道を
走った御陰で、中郷というところから1.1km の林道を見つける事が
できた。しかし、ここは一直線に山肌を上っていって広場で急に終
わってしまうというイマイチな林道だった。
  青麻山林道は緒川を越える橋のたもとから民家の庭先をかすめる
ように山奥に続いていた。橋から緒川を見下ろすと川面の深緑がと
てもきれいだ。
  林道の両側はやがて植林地になった。標識には『青麻山林道  巾
3.6m  全長2586m S45.12.25 開通』とある。
 しばらく上っていくうちに道がボコッとへっこんでいる所が目に
入った。そこを越えてから車を止めて見にいく。さっきの場所は蛇
行した沢を越える橋だった。ただし、沢を以前、土石流が埋めてし
まったらしく沢には水が流れていない。橋の下にも土が詰まってい
た。それでも林の中に沢のあとが残ったままというのが面白い。
  林を抜けるとパッと上空が開け青空が顔を出した。車を止めてか
けだして、ふりかえると案の定、今抜け出してきたトンネルのよう
に鬱蒼とした林の中の林道と、日に照らされた杉の木のてっぺんの
淡い緑の対比が美しい。
  林をぬけると回りは雑草ばかりになった。きっと国有林を抜けた
ので林道も終わりになったのだろう。林道区間2586m にしてはもう
それ以上走っている。山方町側は町道か何かなのだろう。道端にレ
ックスが止まっていた。地元の人だった。ゆっくりと通りすぎ、見
晴らしのいい高台をしばらく走り続けると後はつづれおりの道を下
りていってやがて川沿いの集落に出た。あとは川沿いに下り、水郡
線をくぐると国道118 号線に出るだけだった。
 久し振りに山方町を通るとバイパスの途中に観光物産店とコンビ
ニが出来ていた。そこで最後の休憩をして、後は一気に帰った。

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