はじめての『じこしょうかい』 修羅場体験です。 身も心も疲れました。 |
10月2日。 とある用事で車を走らせていたんだけれど、実はチョット時間に余裕がなく急いでました。 国道は大量の車が通ってウザかったので、途中から裏道(都道府県道)に入って距離を稼ごうとしたんですね。 んで、途中まで走っていると、工事現場に遭遇。 現場の方によると「通り抜けできないので、左折してすぐに右折してくれ。そうすれば抜けられる」ということらしい。 そこで、E坂さん、やむなく左折。 ところが、右折箇所がわからなくって、そのまま直進してしまいました。 まぁ、左折したあとの道路は過去に一度通ったことがあるので、「これをずっと走ってたら国道に出る」ということは頭に入ってた。 だから、まぁ、とりあえず国道に出ようか、と。 しかし、途中で思いもよらないものを発見して、思わずブレーキに足が! 右矢印のついた誘導板。 車で工事現場に遭遇すると、赤地に白色かなんかの矢印が書いてある板がありますよね。車を誘導するヤツ。 アレが道路に2個、車線に1個ずつボテッボテッと置いてあったんです。 普通なら、それといっしょに「ここは通り抜けできません。右折をお願いします」みたいな看板が道路脇に置いてあるハズなんだけど、それは見あたらなかった。 まぁ、これは「右折しろ」という意味なんだろう。 でも、右に見える道路は……なんと細い砂利道。 なんだ? 標識も何も立たないような砂利道へと誘導するのか……? E坂さん、不安に襲われる。 普段、走ることなんかない砂利道。どこへどう通ずるのかはまったくわからない。 でも、ほかに選択肢がない以上、行くしかない。 とりあえず砂利道を走らせて国道に出ることにしようと考えました。 もちろん。 このあと一大事が起きてしまうことも知らずに……。 |
砂利道といえどまっすぐにのびていれば、そんなにノロノロ運転でなくても充分に走れます。 オレも砂利道をけっこうなスピードで走ってました。 しかし、通常は絶対に見ることのないものを見てしまったんです。 そして。 気づいたときには……ブァッシャーン!! E坂さんの車は高らかに水しぶきをあげ、水流のド真ん中にたたずんでしまいました。 砂利道の決壊。 道路の両脇は畑で、暴風雨によって水かさが増し、片方の畑からもう片方へと水が押し寄せてました。 その水が道路を横に削りに削って、ついには貫通させてしまったというわけですね。 言うなれば、“即席でできた川の氾濫”。 道路は完全に途切れ、本当に川が流れているかのようでした。 もちろん、こんな決壊があることなんざ想像できようハズもなかった。 E坂さん、車に乗って6年目。 やってしまった一大事。 もちろん、E坂さんは水の流れから脱出をするべく、エンジンを吹かしました。 しかし。 水しぶきが飛ぶだけで、車は1センチも動かない。 「しょーがない。バックするか」とギアをバックに入れてエンジンを吹かす。 しかし。 1センチも動かない。 「勢いよくすりゃ動くかな」とエンジンを最大限に吹かしても、微動だにしない。 水しぶきとタコメーターの針が豪快に回転するばかりで、肝心のタイヤは空回り。 車が動いてほしいのに、水と針だけがよく動く。 即席の川の真ん中で、車が完全に立ち往生となってしまった。あああ、なんということだ。 ことの深刻さに気づいたE坂さん。一気に顔面が白くなる。 標識も目印も何もない、へんぴな砂利道。 茫然と立ちすくむ男が、ひとり。 惨事の中に、ただひとり。 しかし、ずっと茫然とはしてられない。とにかく、とにかく脱出をせねばならない。 しかたがない。E坂さん、意を決す。水流の中に足を踏み入れた。 考え得るあらゆる限りの方法で、脱出を試みる。 あたりには板が見あたらなかったので、タイヤと川底の間にジャッキをはさんでジャッキ伝いに車を走らせようとした。でも、車は動かず。 シャーシ(車体下部)と地面が接触してたので、車を浮かすためにジャッキで持ち上げようとした。 最後には、砂利を削ってなるべく道路を平らにしようとした。 しかし、車は動かず。車は持ち上がらず逆にジャッキが底にめりこんでいく。しょせんは焼け石に水でしかなかった。 イロイロやっては運転席でエンジンを吹かして脱出を試みる。試行錯誤を何度も何度もくり返す。その間も水の流れは容赦なく襲いかかる。 オレの靴から靴下からジーンズから水や泥を吸い、下半身は水浸し。その姿で運転席にも入ったから車内も水浸し。 服が濡れて感触が気持ち悪い。寒い。しかし、そんなことは言っていられない。 背に腹はかえられない。自分の姿や車の破損はどうであれ、一番にすべきことは決壊からの脱出である。 決壊にハマってから 20分、30分。試行錯誤の結果が微塵も出ない。 ただ、時間ばかりが過ぎていく。自分の両手に擦りキズだけが増えていく。水浸しの体の震えだけが大きくなっていく。 もぅ、だめだ。 自力脱出はあきらめた。 恥をしのんで、下半身ズブ濡れのまま近所のただ一軒の家を訪ねました。 縁もゆかりもない赤の他人の家。その呼び鈴を、意を決して押す。 「すいません、車が決壊にハマって動かなくなっちゃったので、JAFかなんか呼びたいんですけど……」 「あら、それなら、ウチのトラクターで引っぱればいいよ!」 玄関に出たのは奥さんだったけれど、ダンナさんはちょうどトラクターで作業をするところだったようです。 そのついでに、オレの車を上げてくれました。 水に浸かった車が1時間ぶりに道路に上がる。 車の復帰。またたく間に心に浸透する安堵感。 一時はどうなることかと思ったけれど、無事に脱出できた。 でも、車のボンネットは半開きで、バンパーはイカれてました。 そこで、ダンナさんがオレの車のボンネットを開けてみると、ラジエータがけっこうヘコんでて。 「あぁ、コレ、修理代けっこうイッちゃうかもしれんなぁ」とかそんなようなことを言われたけれど、まぁ、修理代は別にイイやという気持ちでした。とにかく、これでまた車を走らせることができるのだから、それでよしとしなきゃ。 ダンナさんにお礼を言って、その場を離れました。 そんな一大事に遭ってしまったので、とりあえず、今日すべき用事は断念せざるを得なくなりました。 まぁ、それに関しては先方に連絡すればいいと思ったので、今日はもぅウチに帰ろうと決心。 ところが。 オレの気づかぬ間に、修羅場の第二幕が用意されていた。 |
安堵感に包まれて家路へと急ぐ。 走っている最中、ふと運転席のメーター類を見たんです。 すると、驚くべきものを発見してしまい、心を包んでくれた安堵感のベールが一気にはがされました。 なんと、メーターの針があさっての方向を向いている! CからHへと目盛りがふってあるサーモメーター、その針がおもいっきりHの方向を指しているではないか! E坂さん、また顔面が白くなった。 修羅場の第二幕。 健常な車であれば、メーターの針はCとHの中間ぐらいまでしか上がりません。 しかし、何らかの要因でHを振り切ってしまうと、いわゆるオーバーヒートになってエンジンの出力が低下。エンジンが熱くなりすぎるとエンジンが止まってしまうんです。 ラジエータ。 ラジエータがヘコんだために、エンジンの冷却機能がイカれてしまっていた! さっそく車のトランクにあった取扱説明書を手に取り、急きょ、オーバーヒート対策を実行しようとしました。 ちなみに、この頃はザーザー降りの大雨。E坂さんは雨に打たれながらボンネットを開けてました。 今度は下半身だけでなく、全身。さらに説明書のオマケつき。 容赦のない水流の次は、容赦のない大雨。 んもぅ、ただでさえ修羅場だってのに、頭から体から全身ズブ濡れだなんてオマケつけやがって。E坂さんメッチャうれしいよこん畜生!(怒怒怒!) ラジエータの水が少ないだけなら、まだいい。 応急処置として水を入れれば、回復する。 しかし、ラジエータそのものが機能しないとなると、オーバーヒート対策も無意味。もぅ、車はほとんど満足に走れません。 エンジンがある程度冷えればまた走らせられるけれど、アクセルを踏むだけでエンジンの温度が急に上がって、すぐにオーバーヒート。 だから、オーバーヒート寸前になったら、車を止めてエンジンを自然冷却。 大雨の中を、このくり返し。 つまり、チョット走っては停め、チョット走っては停めという、“だるまさんがころんだ”みたいな走りを強いられるんです。 しかも、その間、全身が濡れて体は震えていた。 暖房をつけても冷風しか来なかったので、ただ、震えに耐えるしかなかった。 もちろん、目印になるような建物とかがあれば、すぐにでもJAFを呼ぶつもりでした。 ところが、あるのは道路と緑と畑だけ。 これでは、JAFを呼ぼうにも、居場所の説明なんてできやしない。 とにかく、どこでもいいからどこかの市街地にたどり着くまで、車をだましだまし走らせなきゃならん。 なるべく早く着きたい。エンジンを少しでも冷やすために、ボンネットは大開きのままにしてました。 対向車はさぞ驚いたことでしょうなぁ。「なにやってんだコイツは?」と。でも、修羅場まっただ中の今は、恥や外聞なんざどうでもいい。とにかく市街地、早く市街地にたどり着くのが一番の選択だ。 オレのノロい走りを横目にスイスイ抜いていく健常な後続車。恨めしい気さえした。 「早く着いてください! お願いします!」。このときほど、神の存在を強く願わないときはなかった。 |
もぅ午後2時を回っていただろうか。決壊にハマってから2時間。車をだましだまし走らせること1時間。 雨もやみ、空は青々。 なんとか20kmほど走らせていると、更別(さらべつ)村の中学校を発見。「もぅ、ここでいいや」と車を止めることを決意。 車から降りて、JAFに連絡することにしました。 探すは公衆電話。 実は、E坂さん、いつでもどこでも携帯電話を持っているのって電波のクサリで拘束されてるような奴隷気分になってイヤなので、携帯電話を持ち歩く習慣がないんです。当然、この日も家に置いてきてました。 でも、このときほど携帯電話を持って来ていないのを恨めしく思ったことがなかった。 ネコも杓子も携帯電話を持っている今の社会状況って好きじゃないんだけれど、携帯電話はあった方がいいなとこのときは強く思った。 少し歩くとスーパーマーケットの前に公衆電話があったので、さっそくJAFに電話。 帯広支部から更別村まで約40km。支部のオペレーターによると「台風の影響のため、あちこち道路工事や道路封鎖が激しい可能性があるから1時間以上かかる」とのこと。 1時間、更別村散策と相成りました。 といっても、時間を忘れて歩き回ることはできなかった。 なんせ、ジーンズや靴は濡れたまま。シャツは乾いていたものの、やっぱりデニム生地は乾きづらい。足を動かすたびに気持ち悪い感触が伝わってくる。 しかも、JAFの牽引車が到着するときにはオレは現場にいなければいけない。携帯電話を持っていたら「もうすぐで着きますよ〜」とか連絡が来るのかもしれんが、持ってきてないのでJAFからの連絡手段がない。 だから、JAF車はいつ来るかわからない。 20〜30分の町散策もそこそこに、現場に戻る。 中学校の向かいが住宅地で、幸い、歩道にベンチがあったのでそこでボーッと座ってました。 でも、さすがに、ひなたぼっこだけの1時間は長い。 時の流れはいつでも同じハズなのに、このときはえらい長く感じる。 まぁ、それでも、いつかはJAFが来るんだ。気長に待とうじゃないか。 村らしいのどかな風景を、ゆっくり眺めてました。 午後3時半。JAFの牽引車が到着。 帯広のとある整備工場まで牽引してもらいました。 しかし、なんていうか、変な言いかたかもしれないけれど、なんだかさらし者になったような気分だった。 ただ単に故障というだけならイイかもしらんが、なんせ、オレの車はボンネット半開きの上にバンパーもイカれてしまっている。 まるで事故車が連れて行かれるようで、すれ違う対向車に「ぅわ、コイツ事故ったんか? ハズカシー♪」とか思われてるんじゃねぇかとそんなことばっかり考える始末。う〜ん、自意識過剰かもなぁ。 しかも、仕事とはいえ遠くからわざわざ来てくれた作業員さんに申し訳ないという気持ちにもなってしまって、JAF車の助手席でチョット縮こまってました。 現地から帯広までの40分間、いたたまれなかったなぁ。 ましてや、帯広市内は車も人も多いから、余計にさらし者気分だ。 |
整備工場に到着。 職員さんがJAFの作業員さんと気軽なアイサツをしてたから、あぁ、もしかしたらよくJAF車が来るのかな。 作業員さんがオレの車を駐車スペースに入れながら、オレは店内(工場直結の車販売店)で待っていました。 JAFの作業員さんから牽引代の明細書をもらったんだけれど、やっぱり、遠いところからだと高くなっちゃいますね。 ¥19,200。 市内だったら¥0〜¥3,000 くらいだろうから、ズバ抜けて高い。 手持ちでは足りなかったので、念書を書いて翌日に銀行振り込みです。 次に、オレは販売店の職員さんに経緯報告。 「砂利道が決壊したところを…… etc. 」と説明して、職員さんの指示に従うことに。 なにやら、決壊にハマるというのは、れっきとした交通事故だそうです。これははじめて知った。 どうも事故というと、車と車のガチンコとか、人と車のガチンコとか、電柱とガチンコとかってイメージがあったもんで、こんなのは事故じゃないとは思ってたんだけど違うみたい。 事故(保険証書を見てみると「単独事故」というヤツらしいです)とみなされて、車の修理代は保険から出る模様。 なので、ある程度は負担が免れることに。 でも、そうなったらそれで、またメンドウなことが起こるわけですね。 事故なのだから、保険会社と警察に事故報告をしなければいけない。 もちろん、電話でするんだけれど、なんせ、しゃべりの苦手なE坂さんは電話が苦手。 だもんで、職員さんから「保険会社に電話してくれ」と言われたときは、少し憂鬱な気分になりました。 はぁ〜。メンドウだ……。 でも、報告は必ずしなければいけないので、とりあえず、帰宅。 しかも、歩いて帰宅です。 オレの車はないのはもちろん、なんと、整備工場の方でも代車がすべて出払っているとのこと。 「来週の中頃まで代車が手配できない」と聞いたとき、E坂さん、えっらい困ったんです。 歩いて帰宅するのは別にかまわないんだけれど、実は、致命的なことが発生してしまうんです。 その致命的なこととは……バイト先への通勤。 バイト先へは車で行くんだけれど、車でも 15分かかるくらい遠いんです。 そんなところへ歩いて出勤だなんて、とてもとても。冗談じゃない。 でも、代車の望みが薄い以上は、どうしようもない。 まぁ、人によっては「なんとか手配してくれ」とゴネるかもしらんけど、とてもとてもオレにはそんなマネできやしない。ゴネるほどの度胸もないし、第一、「自分さえよければ」でゴネること自体がカッコ悪く感じる。 しょうがない。翌日にでも自転車を買うしかないか。そう考えてました。 あぁ、出費がかさむ。 自転車出勤は大変だけれど、これはもぅ、しかたがない。 事故ったペナルティとでも思えば安いモンだ。 歩いて帰宅。 そして、保険会社へ事故報告。 その際、イロイロと事細かに訊かれたんだけれど、警察に連絡するようにも言われました。 なので、次は 110番。 なんか、コール5回目くらいでやっと出たんだけど、ダイジョーブか? 警察。(余計なお世話だ) で、保険会社と同じように事故報告……といいたいところなんだけれど、実は、思いもよらないことを言われました。 なんと、警察への事故報告って、110番ではできないらしい。 どこかの交番へ行って、そこで直接報告しないといけないらしい。 知ってる人は知ってるかもしれないけれど、オレははじめて聞いて驚いた。 うーむ。電話ではできない理由があるんだろうか。 電話の相手の警察官から、交番を紹介されました。 まぁ、交番までは遠かったけれど、事故報告をすればとりあえずは終了するだろう。長い徒歩だけど行ってこよう。 とりあえず、交番へ行けばひと段落がつく。オレはそう思っていた。 しかし、修羅場を2つも用意してくれた神は、どうやらもう少しオレと遊びたいらしい。 新たな展開をもうひとつ用意していやがった。よっぽど、オレの不安な青白い顔を見たかったのか。 |
紹介された交番へ行くことに。 しかし、遠い。マジ遠い。 あとで軽く計算してみたところ、約1.5km。 実に徒歩20分。 これだけの距離を歩くと、「こんなところにこういう店があるのか〜!」と街並みがよくわかったりしておもしろいんだけれど、実は、ほかにもわかったことがある。 「普段、車ばっかり使っていると、こういうことになる」というのがイヤというほどわかる。 足。 普段使わない筋肉を酷使してしまう。当然、筋肉痛になる。 両脚の付け根あたり。そしてヒザのあたり。そして足の裏。お尻。そこらへんが猛烈に悲鳴の大合唱をあげている。 痛みをこらえつつ、満足な姿勢で歩けない徒歩20分の刑。 キツい。 交差点の赤信号で立ち止まれたのが、唯一の救いか。 まぁ、それでも、気力でなんとか交番に着く。 んで、交番で事故報告をしました。 やれやれ、これで肩の荷が降りる。 ところが。 思いもよらない一言が、お巡りさんの口から放たれた。 「電柱とかならまだしも、道路が決壊してそれで事故を起こしたんなら、道路公団とか役場の責任になるんでないかぃ?」 「明日、更別村の役場に掛け合ってみれ」 ? へっ? や、役場?? つまり、お巡りさんが言うには、事故現場の住所が特定されてないこともさることながら、道路の決壊状況や役場の対策状況などが詳しくわからないことには責任の所在が曖昧になる。そのため、事故報告書がつくれないということらしい。(詳しいことはわからないけれど、だいたいこんな感じ) 電柱などに突っ込んだ場合は運転ミスということで運転手の過失になるので、役場などは関係ない。でも、決壊のような自然災害の場合だと事情が違うらしい。そんな感じだろうか。 いやはや、交番で終わりかと思ったのに、翌日、更別村の役場へ行かなければならなくなりました。 あぁもぅ。 整備工場へ行けば保険会社に電話せぇ、保険会社に電話すれば警察に電話せぇ、110番に電話したら交番に行けぇ、交番に行ったら役場に掛け合えぇ。 なんだかもぅ、変な言いかただけど、たらい回しにされてる気分? しかも、オレ、生まれてこのかた、基本的な申請(住民票とか印鑑証明とか)以外で役所に行ったことがない。 さらに、決壊がどーだこーだなんて話、どこの窓口に言えばいいんだ? そして、失礼な言いかただけれど、生活に困らない公務員だから無愛想な対応をされるかもしれない。さらにヘタをすると「安全運転をしなかったオマエが悪い」などと居直られて責任をなすりつけられるかもしれない。 官僚などの痴態をニュースで見るにつけ、「もしかしたら役所でも同じようなことが……」と考えてしまって不安で不安でしょうがない。 それに、役所が親切な対応されるにしても、いったいどういう対応をするのだろう。 まったく想像ができなくて、さらに不安になる。 ヘタをすると、「はい。善処しておきますね。ありがとうございました」みたいなケンもホロロな対応だってありうるわけだ。もし、そんな対応をされたら、オレはいったいどうすればいいのだ? スゴスゴと引き下がるしかないのか? 翌日に役場に行くということで、交番をあとにしました。 筋肉の悲鳴を聞きつつ、復路 1.5km を歩く。 街中を過ぎる健常な自動車の群れ。車を壊したオレへのあてつけにさえ見えてくる。 帰途につくと、明日やるべきことの準備をして、夜9時ごろ、早々に布団に入りました。 決壊に落ちてから9時間。 未だに心が落ち着かない。食欲もわかない。横になってもネットをやっても心が休まらない。 服を着替えて自宅のパソコンの前に座っていると、決壊の中で車を助けようとしたり雨の中でボンネットとニラメッコしていたのがまるでウソだったようにも思えてくる。 いや、逆かもしれん。決壊に落ちたときの苦悩からすれば、今、自宅に戻ってネットをやってるのがウソのようだ。 明日は10時起き。13時間、少しでも寝て心を落ち着けよう。 今ごろ、神は不安顔のオレを見て喜んでいることだろう。まったく。こんな展開、わざわざ用意しやがって。 |
翌日。10月3日。 不安な日のはじまり。 まだ筋肉痛が激しい。しかし、それにこらえて行かなければならない。 まず、昼11時ごろ、JAFへの¥19,200 振り込み。もちろん歩き。足の悲鳴を今日も聞く。 昼12時半、保険会社から電話が来る。免許証コピーなどの書類が必要なため、FAXで送る。このとき、役場へ行くという旨を話したので、その内容をあとで教えるよう指示される。 昼1時、整備工場へ見積書をもらいに行く。 ここで、うれしいことが2つありました。 ひとつは、見積金額が思ったより安く、保険で修理代の大部分をまかなえるということ。 実は、E坂さん、保険外で 20〜30万の出費は覚悟してました。 それがほとんどないというのは、すごくうれしい。 そして、もうひとつは、なんと代車が手配できたこと。しかもオレとほぼ同じ車種。 これは大きい! おそらく職員さんが他の支店に掛け合ったりして手配してくれたのだろう。これは感謝の気持ちがあふれました。 何時でも役場へ行けるし、なによりバイト出勤問題が解消された。 ありがたかった。 職員さんから見積の話を聞いたあと、整備工場をあとにする。そして、いよいよ本日のメインイベント(?)、役場です。 代車に乗り、いざ更別村へ! |
とりあえず、事故関係の書類という書類、道路地図帳を持って更別村の役場へ行ってきました。 不安の中、役場のドアを開ける。 役場の中にはさまざまな課の窓口があって、道路関係はどの窓口なのかオレは知らない。 しかたなく、近くの職員さんに訊く。 なるほど。道路関係は建設課でしたか。 そこの窓口で、オレの事故状況や交番でのお巡りさんの言を説明した。 中に通され、係員さん2人に道路地図帳を見せて話をすると、驚くことがわかった。 実は……、事故現場の管轄は更別村ではない! なんと境界線ギリギリで、隣町の大樹(たいき)町だということが判明したんです。 なんと、てっきり更別村かと思えば……。 職員さんにお詫びをしつつ、さっそく大樹町へ車を走らせました。 ちなみに、更別村役場の職員さんは、ごく普通、明るい優しい感じでした。 20分後、大樹町役場。 同じように建設課の窓口へ行くと、今度は土木課の窓口へ誘導された。 あら? 町によって課が違うんかいな。 いや、まぁ、それは別にイイか。土木課の窓口で同じように職員さんに説明しました。 どうやら管轄は大樹町で合ってるようで、職員さんたちと事故現場へ行くことに。 しかし、オレは大樹町の道路分布なんざわかるわけがない。果たして事故現場へ職員さんを誘導できるんだろうか。 ひょっとしたら、同じ道を何時間もグルグル回させて現場を見つけられないかもしれない。 あらゆる限りの記憶を引き出して、職員さんを誘導した。 車を何度もグルグル余計に回してしまったが、なんとか現場に到着。前日に助けを求めて呼び鈴を押した家の外観、これを頭に入れていたのは正解だった。 ちなみに、事故現場はすっかり元通りになってました。ただ、道路脇に残った大量の砂利が、昨日の修羅場を思い出させる。 なんだか、こうもあまりに元通りになってしまうと、オレがウソを言ったみたいに思われそうだ。でも、職員さんたちはそういう態度をとらなかったので、ひと安心。 逆に、貴重な話を聞けました。 台風などの非常事態が起きた場合、町内の道路という道路すべてをすぐさまパトロールするんだそうです。早朝から深夜にかけて(当日の朝4時半からやっていたとのこと)。 そして、パトロールをして道路に被害が起きていれば、すぐさまバリケードで通行止めにする。 そうやって、車の安全を守っているのだそうです。 実際、職員さんといっしょに事故現場へ行くとき、バリケードを積んだトラックもいっしょでした。 なんかこぅ、「公務員は親方日の丸だし、仕事はラクだ」なんて話を聞いたりするけれど、こういう即座な対応を朝から夜からキチッとやってんだなぁと思うと、公務員に対して見る目が変わりますな。 クソみたいな官僚どもなんかよりは、現場の方々の給料を高くした方がいいんでないかい。 ちなみに、職員さんの話によると、なんと、昼12時過ぎ頃に道路封鎖をしたらしいとのこと。つまり、パトロールの最中、オレが事故って助けられてオレが去った直後に事故現場を封鎖したとのことでした。 うわ〜。これって、お互いにアンラッキー! 役場が少し早めに道路封鎖をしていればオレが決壊にハマることはなかったんだし、オレが決壊部分に来るのが少し遅ければ道路封鎖済みだったのだから役場は賠償しないで済んだんだし。 このタイミングのズレも、神が仕組んだ巧妙なワナですかね。 んで、現場確認のあと、大樹町交番へ行って事故報告。 そのあと、役場へ戻って話し合いをしました。 オレの事故については、役場の過失ということでいくらかの賠償金をいただくという結果になりました。100%賠償ということにはならなかったんだけれど、でも、まぁ、砂利道でスピードを出してたから「完全にオレは悪くない!」とは主張できない。賠償が少額であってもオレは了承しようと思ってます。 あ、そうそう。もうひとつ驚いた話。 職員さんがこぅ話してました。「役場の保険でお支払いいたします」。 や、役場の保険?? 詳しいことはわからんけれど、なにやら、役場も保険に入っているらしいんです。 公共物によって被害に遭った人への賠償という形で保険会社から保険金を出す、と。 へぇ〜。保険なんて一般個人が入るモンだとばっかり思ってたけれど、役場のような市町村機関も保険に入ってるんだなぁ。 おもしろいことを知りました。初耳だ。 んで、職員さんが言うには、事故報告書類を作成する過程で事故車の写真が必要とのこと。なので、翌日は整備工場へ出向いて、写真をもらってこなけばいけない。 そんなこんなで、役場との話し合いはおおまかにカタがつき、ひと安心するE坂さんでした。 ちなみに、大樹町役場の職員さんも、ごく普通、明るい優しい感じでした。ごく普通のお父さんって感じ。 全然、無愛想でもなんでもなかった。 やっぱり、公務員といえどもピンキリだし、やっぱりピンの方が多いんだろうな。悪い目で見るのはよくないな。 |
昨日といい今日といい、普段電話しないところに電話をし、普段行ったこともない場所に単身乗り込んでいく。 オレみたいな小心者にとっては、非常に勇気が要ることだ。 しかも、オレ一人。代わりに電話してくれる人なんていない。代わりに乗り込んでくれる人なんていない。何から何まですべてオレ一人でやらなければいけない。 しゃべりの苦手なオレは、もちろん説明も苦手。「うまく説明できるだろうか」なんて不安は寝ても覚めても拭えない。 まったく要領を得ない意味不明な説明をして、相手から「もう少し整理がついてからまたお越しください」などと追い返されたらどうしよう。 そんなことばかり考えてしまう。 もちろん、「これぐらい一人でできんでどうすんだよ!」と思う人もいるだろう。しかし、小心者にとっては、こういうことは一世一代の難事業にさえ思うものだ。 オレにとって、交渉ごとは“高い壁”になっているのだ。そして、説明その他を終えて役場を無事あとにするというのは「壁を乗り越える」ことと同じなのだ。 実際、役場から帰る途中、オレは心の底から安堵感に包まれた。やるべきことはまだあるが「はぁ〜。やっと全部終わった〜♪」と誤解さえしそうになった。 食欲もわいて、近所のラーメン屋さんに入って少し奮発した。普段と同じく、ラジオやCDを聴きつつネットもできた。 明日、やるべきこと。 整備工場へ行って、写真をもらってくること。 その写真を大樹町役場へ郵送すること。 保険会社に、役場との経緯などを説明すること。 この3つで、ひと段落がつく。 もぅちょいだ。ガンバれ、E坂さん。 |
翌日。10月4日。 11時起き。 整備工場へ行って、写真をもらう。 昨日、見積りのときにナマで見たけれど、あらためて写真で見ても惨状がわかる。 バンパーがザックリ欠けていて、ナンバープレートもひしゃげている。 よく、こんな状態で 20km も走ったもんだと、なんだか変に感心してしまった。 あとは、家へ帰って、保険会社に連絡。そのあと、写真を大樹町役場へ郵送しました。 ★ ……と、ここまでで、役場や保険会社などからは連絡がなく、一応、ひと段落ついた形になりました。あとは、具体的な保険額などが提示されて、実際に保険で車を修理するという段取りになっていくでしょう。 今は代車のE坂さんですが、そのうち車が戻って、またドライブにでも駆り出す日が来ることでしょう。 いやぁ、疲れた。 事故当日、10月2日は、ホント、何倍も動いた。 でも、一連のできごとで、JAFしかり、事故報告しかり、役場しかり、知らないことをイッパイ知った。 すごく勉強になった。 痛い経験ではあったけれど、知らないことをイッパイ聞けたのだから「貴重な経験をした」とも言えますね。 うん。 いい経験をした。 ……何度も経験するコトじゃぁないけどね(笑) |
EPSILON ★ DELTA 管理人:E坂もるむ |