1.どういう解法?
XYZ-Wing の舞台は3マスです。
しかも、XY-Wing とはたった1カ所しか違わない、ほぼ瓜二つの世界。
安易に理解しようとしたら混同すること請け合いです。
今、3マスA, B, Cについて、次の状況になっているとしましょう。
- マスAには数字1, 2, 3のみが入り得る。
- マスBには数字1と3のみが入り得る。
- マスCには数字2と3のみが入り得る。
- マスAとBは同じ列に属している(ただしブロックは異なる)。
- マスAとCは同じブロックに属している(同じ列に属しても良い)。
- マスA, B, Cは一直線上にない。
んも〜、条件多すぎる😅
図1-1 を見てビジュアル的に理解しちゃってください😅
さて、前図1-1 からはどういう結論が得られるんでしょう?
こうなるんです。
- 3マスA〜Cすべてと列やブロックを共有するマスがある。そのマスに数字3は入らない。
図1-2 だと×印の2マスが該当します。
その2マスはマスA, Bとヨコ列を共有し、マスCとブロックを共有しています。
その2マスに数字3は入らないというわけです。
なぜこういう結論になるんでしょう?
それは、3マスA〜Cのどこかに必ず数字3が入るからなんです。
それを解説しましょう。
マスAの候補は3つあります。
そして、Aに入った数字によってマスB, Cに影響が出ます。
マスAに1が入った場合、マスBに必ず3が入ります。
マスAに2が入った場合、マスCに必ず3が入ります。
マスAに3が入った場合、BもCも数字が確定します。
図1-3 の3パターンを見て、どういうことが言えるんでしょう?
数字3について、何かが見えてきそう……。
実は、こういうことが言えるんです。
- マスA, B, Cのどこかに必ず数字3が入る。
そうなると、数字3を入れられないマスが生じます。
図1-4、×印のマスです。
×マスは2マスA, Bとヨコ列を共有し、マスCとブロックを共有しています。
だから、A, B, Cのどこに数字3が入ったとしても、×マスには3を入れることができないんです。
図1-2 の結論通りになりましたね😊
これが XYZ-Wing の解法です。
上記の例では2マスA, Bがヨコに並んでいました。
もちろん、タテに並んでも理屈は同じです。
その場合については、次セクションで解説しましょう。
2.実際に使ってみよう!
次は、実際の盤面で XYZ-Wing を使ってみましょう。
図2-1 では、とあるマスに数字が判明します。
それを XYZ-Wing で突き止めてみます。
各マスの入り得る数字を調べてみましょう。
図2-2、A〜Cの3マスに注目します。
さて、状況はどうなっているでしょう?
- マスAには数字4, 7, 8のみが入り得る。
- マスBには数字4と7のみが入り得る。
- マスCには数字7と8のみが入り得る。
- マスAとBは同じ列に属している(ただしブロックは異なる)。
- マスAとCは同じブロックに属している。
- マスA, B, Cは一直線上にない。
これは XYZ-Wing が使えますね!
早速使いましょう!
結論はこうなります。
- 図2-3、×印のマスに数字7は入らない。
マスAには4, 7, 8のどれかが必ず入ります。
すると、入った数字に応じてマスB, Cに影響が出ます。
マスAに4が入った場合は、マスBに必ず7が入ります。
マスAに7が入った場合は、マスBもCも数字が確定します。
マスAに8が入った場合は、マスCに必ず7が入ります。
結局、3マスA, B, Cのどこかに数字7が入ることになるんですね。
というわけで、×印のマスに数字7を入れることができなくなりました(図2-3)。
うまく XYZ-Wing が使えましたね!
もぅちょっと解き進めてみましょう。
緑色ヨコ列(図2-4)に注目しましょう。
×印マスに数字7が入らないことも踏まえると……
なんと、緑色ヨコ列で数字7が判明しちゃいました😊
3.候補数字の大きな秘密
ここからは余談です。
今までは解法 XYZ-Wing を解説してきましたが、実は、対象となる3マスには大きな秘密が隠されているんです。
このセクションでは、その話をしようと思います。
図3-1 の盤面、3マスA〜Cで XYZ-Wing の形ができています。
この3マスで解説していきましょう。
まず、パッと見でわかる特徴は、候補数字が全3種類だということ。
3マスで全3種類。
まるで3国同盟みたいですね。
ただ、残念ながらこれは3国同盟ではありません。
それとは別に、もうひとつ特徴があるんです。
各候補数字の配置、これに大きな特徴が潜んでいる。
どんな特徴なんでしょう?
実は、候補数字の配置がそれぞれこうなっているんです。
- 候補数字1はただ1つの列に存在している。
- 候補数字2はただ1つのブロックに存在している。
- しかし、候補数字3は複数の列やブロックに存在している。
たしかに、図3-2 を見ると一目瞭然だ!
1はどれも青色ヨコ列に収まっている。
2はどれも赤色枠のブロックに収まっている。
3は列&ブロック両方にまたがっている。
まさに上記の特徴通り。
ただ1つの候補数字を除いて、どの候補数字もただ1つの列またはブロックに収まっている。
これが、XYZ-Wing の持つ大きな特徴なんです。
さぁ、XYZ-Wing に秘められた特徴がわかりました。
じゃぁ、その特徴がどういうふうに3マスA~Cに作用していくんでしょう?
実は、3マスA〜Cに対して成り立つことが1つあるんです。
- 数字1も2も1個までしか入れられない。
つまり、数字1, 2は合計2個までしか入れられない。
なぜでしょう?
例えば、候補数字1はヨコ1列にしかありません。
マスAかBに数字1を入れられるけれど、1カ所に入れたらもぅ終わり。他のマスには1を入れられない。
数字2も同様で、最大1カ所にしか入れられません。
3マスA〜Cのうち2マスまでなら数字1と2で埋められる。
逆に言えば、数字1, 2だけでは最大2マスまでしか埋まらないんです。
あれ? マスはまだ残ってるよ?
残りは……どうするの?
そうです。数字3で埋めるしかないんです。
だって、数字1と2で埋めきれないんですもの! 3も使うしかない!
数字1, 2だけでは3マスを埋め尽くせない。
どうしても数字3が必要になる。
というわけで、3マスA〜Cについてこういう結果に至るんです。
- 3マスA〜Cのどこかに必ず数字3を入れなければならない。
実際は、候補数字3はA〜Cすべてにあります。
だから、そのどれかには必ず数字3が入ることになりますね。
この結果を経て「×印マスに数字3は入らない」という結論に至ります。
セクション1とは論法が異なりますが、同様の結論になりました。
ここで、3マスA〜Cの配置について話をひとつ。
実は、名前が付いています。
この3マスはピンク色領域に存在していますね。
1列と1ブロックを合成したL字型の領域です。
簡単に言うと、マスA〜Cは「折れ曲がった形」に配置されているわけです。
この3マスA〜Cをひっくるめて Bent Naked Subset と呼びます。
bent は「曲がっている」という意味。
Naked Subset とはn国同盟という意味。
3マスだと Bent Naked Triple なんて言い方をするのかな?
この Bent Naked Subset という概念、XY-Wing 系を深く理解する際には重要なカギとなっています。
これを理解すれば、XY-Wing 系の解法をすべて理解できてしまうのです。
それほどまでのスグレモノ!
一般的な Bent Naked Subset については、Bent Naked Subset のページで解説しています。
ヒマな時にでもご覧ください。
あ、内容はかなり難しいので、気力と体力が足りない時に読むと後悔するかも😅
更新履歴
- 2022. 2. 5.
- 新規公開。
- 2023. 3.31.
- ページ冒頭に難易度表記を追加。