【コラム】たった1つの違いは天地の違い

 ナンプレでは、些細な違いが大きな違いを生むことがあります。
 そういう「似て非なるもの」を紹介しつつ、ナンプレ製作の苦労をちょいと語ってみます。
 (難易度:★★)

1.まさに瓜二つ。なのに……

図 1-1

 図1-1 を見てみましょう。
 この2つの盤面は同じです。ただ1カ所を除いては。

  • 右下隅の数字だけ異なる。

 まるで現実の双子のように瓜二つ。
 たった1カ所しか違わないのなら、両者とも解き味はそう変わらなさそうに思えますよね。
 ところが!
 この双子、見た目に反して中身にとんでもない差があるんです。

 とんでもない差とは一体何か?

この2つのナンプレ、難易度に天地の差があるんです。

 図1-1 左側のナンプレは簡単です。
 皆さんがいつも解いている通りに普通に解ける。中級レベルくらい。
 対して、右側の方は……それはそれは鬼も逃げ出す難しさなのです!
 手持ちのナンプレソフトでザッと解き筋を調べたら、2国同盟, Skyscraper, 2-String Kite, XYZ-Wing, WXYZ-Wing, Finned Swordfish, Nice Loop, Forcing Chain とまぁ、そうそうたる上級手筋を山ほど駆使してやっと解けるというシロモノでした。
 こんなの、人間にゃぁ解けねぇよ😅

 こういうふうに、ナンプレというパズルは微妙な差にもかかわらず難易度に絶大な差を生むことがある。
 今回は、そういう視点からナンプレ製作の苦悩をちょいと語ってみようと思います。

2.数字が移動しただけ。なのに……

 もうひとつ、例を紹介しましょう。
 フォーラムサイト『The New Sudoku Players' Forum』の same puzzle 1 clue moved much harder というスレッドから1つ。

図 2-1

 図2-1 の盤面もまた双子のようですね。
 ただ、今回も1カ所だけ違います。

  • 数字7(黄色)が移動している。

 この2つもまた難易度が大違い!
 左は中級、右は激辛。
 手持ちのナンプレソフトでは後者は1マスも埋まらず、仮定法(背理法)でなんとか唯一解を確認しました。

 まぁ毎回毎回こんな極端ではないけれど、数字1つで難易度が様変わりするというのは不思議なもんです。
 当のスレッドは投稿数の少ない小さなスレッドだけど、難易度激変の例がいろいろ見られて面白い。

 この方法、ナンプレを製作する際のテクニックとして使えそうですね!
 思わしい難易度になってくれない時、ヒント数字を少しいじってみるのも良さそうだ。
 そうすれば、うまく難易度調整できるかもしれません😊

3.ハードな問題を作るのはハードなのさ

 セクションでは、数字を1個変えただけ。
 セクションでは、数字を1個動かしただけ。
 なのに驚くほど難易度が激辛になりました。

 これは逆方向に考えることもできますね。
 つまり「数字1個で激甘にもなれる」と。
 実は、これがナンプレ製作に苦悩をもたらすことがあるんです。

図 3-1

 さて。
 ちょいとナンプレを製作してみましょうか。
 ここでは上級問題を作ってみたい!

 上級となると、2国同盟などの解法を仕込みたいところですね。
 解き甲斐のある難問にしたければ、2国同盟を2つ3つ入れたい!
 できれば3国同盟も!
 そう考えて作ったのが 図3-1 です。
 赤色・青色では2国同盟、緑色では3国同盟を使うように数字を配置しています。

図 3-2

 しかし、このナンプレはまだ完成していません。
 なぜなら、解いても解が複数あるからです。
 図3-2 のように、あと4マスというところでもぅ先には進めない……。

 ナンプレは唯一解を持たなきゃ解く価値はない。
 だから、唯一解を持つように問題図を修正しなきゃいけません。
 その方法として真っ先に思い付くのは「ヒント数字を増やす」です。
 空きマスの1つに数字を置いちゃえば完成!

図 3-3

 ……とはいかないんです。
 たしかに、ヒント数字を1つ増やせば複数解はなくなる。
 しかし、そうして出来上がったナンプレは……残念ながらこうなってしまいました。

2国・3国同盟を使わずに解けるシロモノになっちゃった。

 難易度が中級レベルにダダ下がり😅
 せっかく3カ所も同盟を仕込んだのに、その苦労がぜ〜んぶ水の泡💦
 もぅガッカリ感がハンパないのです。
 もちろん、これを上級問題として出すことなんかできません。

 上級問題では、たった1個の数字が命取りになる。
 この危機に直面した時、これが苦悩の始まりです。

 上級問題を作る時、2国同盟など上級手筋の仕込みは必要になる。
 その後もその仕込みを壊さないように気をつけながら、ヒント数字を慎重に配置していかなきゃいけない。
 その苦労を重ねてナンプレを仕上げていくわけだけど、ゴール寸前で複数解が生じて完成できないことがある。
 そうなると、「あっヤバい」と脳内に黄色信号が灯る。

 もしヒント数字を増やしても運良く上級レベルが保たれていれば、ホッと胸をなで下ろす。
 しかし、いろいろ微調整しても複数解や難易度低下が避けられないこともある。
 そうなると信号がいよいよ赤に変わる。「せっかくここまで来たのに……」と天を仰ぐ。
 もちろん問題図はなんとしても修正しないといけないが、せっかく作った仕込みは絶対に壊したくない。なまじゴール寸前まで行っちゃてると、一歩先のゴールテープを切れないもどかしさばかりが募る。
 最悪、ゼロから作り直すことを視野に入れなきゃいけない。
 上級問題にはこういう苦労がつきまとうんですね。

ハードな問題を作るのは結構ハードなのさ!

 でも、その苦悩を経て上級問題が完成すると、作者として達成感があります。
 ある意味、解き手への挑戦状ができたようなもの。
 渾身の仕込みをした挑戦状を叩きつけて、解いてる最中の方々をウンウンうならせ、解き終わった後もスゲェとうならせる。
 そういう瞬間は作者として嬉しい。
 だから、過程がハードでも作る楽しみがありますね😃

参考・参照

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