2.候補を調べてからの3国同盟 (Naked Triple)
3国同盟にはもうひとつのパターンがあります。
それを紹介しましょう。
実は、図2-1 の黄色ブロックにはとある状況が生まれています。
それは次の状況です。
- ある3マスには、ともに同じ3つの数字しか入れられない。
具体的なことは 図2-2 で説明しましょう。
図2-2、3つの▲マスに入り得る数字はそれぞれ何でしょう?
灰色マスの数字を見ながら、それぞれ調べてみましょう。
実は、どの▲も2, 4, 9の3つしか入れられないことがわかります。
これが 前図2-1 で述べた状況です。
- 3マス(▲)には、ともに同じ3つの数字2, 4, 9しか入れられない。
今のところ、どの▲にどの数字が入るのかはわかりません。
しかし、数字3個に対してマスがちょうど3個。
「まず上端の▲に2を入れて、左端の▲には4を……」などと試しに数字の入れ方をいろいろ検討してみると、どうやら1つの結論が出てきそう……。
その結論とは……?
- 数字2, 4, 9は必ず▲の3マスに入ることになる。よって、他の黄色マスには2も4も9も入れられなくなる。
なんと、2, 4, 9が同盟を組んで▲マスを全部占拠しよった!
……と言うよりも、2, 4, 9専用の VIPルームが既に3部屋用意されていて、その部屋に3名様をそれぞれお通しするって感じです。
ここでも、同様に「249」とでもメモしておくことにしましょう。
占拠という意味も一応ありますが、ここでは「他の黄色マスには2も4も9も入れられないよ〜!」と捉えましょう。
3名様は素敵な VIPルームに入り浸りです😊
「249」以外の黄色3マスに×印を付けておきましょう。
×印マスには2も4も9も入りません。
×印も付けたことだし、今度は緑色タテ列に注目しましょう。
さて、この緑色タテ列では数字4はどこに入るでしょう?
さっき書いた×印がすごく効いてますよね!
数字4の入るマスはたった1つしかないのです。
というわけで、数字4の場所が判明しちゃいました。
3国同盟様々ですね😊
元々、左上ブロックには数字2, 4, 9の入る場所は他にもありました。
ところが、3国同盟によって2も4も9も専用部屋に押し込められてしまった。
×印マスに入れなくなっちゃったんですね。
場所がどんなにたくさんあろうとも、それをたった3マスに減らしてしまう。
この3国同盟の強制力。
前セクションだけでなく、こんなすごい力も持っているんです。
図1-5 でも述べましたが、このセクションでも同様のことが言えます。
3国同盟の場合、占拠する数字が少し欠けていてもかまいません。
図2-3 では3マスとも「249」でしたが、「24」「49」など一部の数字が欠けていてもOKです。
「2, 4, 9以外の数字は絶対に入らない」という事実が重要なのであって、3マスすべてに2, 4, 9が出揃っている必要はないんです。
3マスとも占拠数字が欠けていなかったとしたら、3つの数字の入れ方は全部で6通りあります(3×2×1=6通り)。
図2-3 の場合は1つも欠けていないから、2, 4, 9の入れ方はそのまま6通りあります。
セクション1ではレーザーを発射して「1, 3, 8の3国同盟」が成立しました。
それに対して、セクション2では当該マスに入り得る数字を調べて「2, 4, 9の3国同盟」が成立しました。
レーザーを発射してから見つかる3国同盟。
候補数字を調べてから見つかる3国同盟。
2国同盟と同様、3国同盟にも2種類のタイプがあるんですね。
次セクションでは、もう少し詳しく解説することにしましょう。
4.n国同盟
2国同盟のページでは Hidden Pair、Naked Pair と呼ばれる2種類のタイプを紹介しました。
どちらも2種類の候補数字に2個のマスが対応し、2種類の候補数字が2マスを占拠するという形になりました。
「2種類」と「2個」、数は同じです。
また、上記で解説したように、3国同盟では Hidden Triple、Naked Triple と呼ばれる2種類のタイプを紹介しました。
どちらも3種類の候補数字に3個のマスが対応し、3種類の候補数字が3マスを占拠するという形になりました。
「3種類」と「3個」、数は同じです。
実は、4国以上でもまったく同様のことが言えるんです。
n種類の候補数字にn個のマスが対応し、n種類の候補数字がn個のマスを占拠するという形ができることがある。
一般に、これを n国同盟 と言います。
具体例として、4国同盟をひとつ。
図4-1 の青色ヨコ列を見てみると、候補数字2, 4, 6, 9の4国同盟ができています。
「4種類の候補数字が4マスを占拠する」という形ができあがっているんですね。
これは Naked タイプの4国同盟で、Naked Quadruple という名前が付いています。
ちなみに、4国以上の同盟でも 図2-5 の補足は成り立ちます。
つまり、占拠数字が少なくてもOKです。
「この4マスに2, 4, 6, 9以外の数字は入らない」ということが重要であり、4マスすべてに2, 4, 6, 9が出揃っている必要はありません。
実際、図4-1 は占拠数字が少なめですが、これも立派な4国同盟です。
ここで、n国同盟についてちょっとした話を。
4国以上の同盟にも「Hidden ○○」「Naked ○○」という名前が付いています。
こんな感じ。
- 【2国同盟】
- Hidden Pair / Naked Pair
- 【3国同盟】
- Hidden Triple / Naked Triple(Triple は Triplet と言うこともあります)
- 【4国同盟】
- Hidden Quadruple / Naked Quadruple(Quadruple は Quad と言うこともあります)
- 【5国同盟】
- Hidden Quintuple / Naked Quintuple
- 【6国同盟】
- Hidden Sextuple / Naked Sextuple
- 【7国同盟】
- Hidden Septuple / Naked Septuple
- 【n国同盟】
- Hidden n-tuple / Naked n-tuple
他には、Hidden タイプをひっくるめて Hidden Subsets と言い、Naked タイプの方は Naked Subsets と言ったりします。
さらに、それら全体を総称して Locked Sets(または Locked Subsets)と言ったりします。
いや〜名前多すぎ!
同盟の種類が多すぎて、覚えるのが大変ですね😞
でも、実は、n国同盟の解法を直接使う場合は5国以上を考慮する必要がありません。
4国以下だけで十分なんです。
それは何故か?
それは、ある列やブロックに同盟ができている場合、残りのマスでも別の同盟が必ずできるからなんです。
列もブロックも9マスしかありません。5国以上の同盟が存在すれば、その裏側で4国以下の同盟も必ずできている。
もちろん、国数の少ない同盟を考える方がラク!
だから、4国以下で十分なんです。
詳細は次セクションで説明しましょう。
5.Hidden と Naked は裏表の関係
セクション3に続いて余談をもうひとつ。
今までのセクションでは Hidden と Naked の2種類を紹介しましたが、両者の関係について話してみようと思います。
図3-1 では3国同盟、図4-1 では4国同盟を紹介しました。
この2つの図を見て何か気が付きましたか?
そうです!
実は、両者とも盤面はまったく同じなんです。
しかも、それだけではありません。
2つの同盟でヨコ1列を網羅している!(図5-1)
かたや Hidden 3国、残りは Naked 4国。
ちょうど Hidden と Naked の同盟が仲良くヨコ列を分け合っているんですね。
同盟には Hidden と Naked の2種類ありますが、実は、片方だけ盤面に存在するということはありません。
一方が存在すれば、残りの場所で他方も存在するんです。
なんだか不思議ですね。
なぜ両タイプの同盟が同時に存在するんだろう?
図5-1 の盤面を例に説明していきましょう。
説明にあたって、図5-1 の同盟2つを含むヨコ列を「ヨコ列X」と呼ぶことにします。
キーとなるのは、赤色で示した6個の数字の存在です(図5-2)。
これらの数字はヨコ列Xにn国同盟を発生させます。
以下、これらをまとめて「キー数字」と呼ぶことにしましょう。
ヨコ列Xに対してキー数字が作用する時、具体的には次の2つが同時に起こります。
- キーと同じ数字がまったく入らないマスが生じる。
- キーと同じ数字は一部のマスにしか入らなくなる。
この2つが起こることで、ヨコ列Xの空きマス7個は「a. に該当するマス」「b. に該当するマス」の2種類にキッチリ分かれるんです。
ヨコ列Xにおいて、a. に該当するのは青色4マスです。
この4マスには1, 3, 8(キーと同じ数字)がまったく入りません。
そして、この4マスで4国同盟(Naked)ができています。
また、b. に該当するのは黄色3マスです。
1, 3, 8(キーと同じ数字)はこの3マスにしか入れられません。
そして、この3マスで3国同盟(Hidden)ができています。
キー数字の作用によって、ヨコ列Xは Hidden と Naked の同盟に二分されていたというわけなんですね。
ちなみに、Hidden の同盟は必ずキーと同じ数字で構成されます。
ついでに、セクション2の3国同盟についてもキー数字を示してみましょう。
図5-3 の通りです。
赤色で示した3, 7, 8がキー数字です。
この6個のキー数字が作用して、次の a. b. が同時に起こります。
そして、左上ブロックが2種類の同盟に二分されました。
- キーと同じ数字がまったく入らないマスが生じる。
- キーと同じ数字は一部のマスにしか入らなくなる。
a. に該当するのは青色3マスです。
この3マスには3, 7, 8(キーと同じ数字)がまったく入りません。
そして、Naked 3国同盟のできあがり!
また、b. に該当するのは黄色3マスです。
3, 7, 8(キーと同じ数字)はこの3マスにしか入れられません。
そして、Hidden 3国同盟のできあがり!
これは一般の場合でも成り立ちます。
列内部(またはブロック内部)にn国同盟が見つかった場合、それを発生させたキー数字が存在しています。そして、そのキー数字は上記 a. b. をその列全体(またはブロック全体)に起こしています。
そして、a. に該当するマスで Naked の同盟ができ、b. に該当するマスで Hidden の同盟ができているというわけです。
だから、ある列やブロックを見て Hidden の同盟を見つけた時、残りのマスを拾うと Naked の同盟が見つかるんです。
もちろん逆もしかり。Naked が見つかれば、必ず Hidden も見つかります。
ナンプレの列やブロックは9マスしかありません。
だから、一方が5国以上の同盟だった場合、残りのマスでは4国以下の同盟が必ずできています。
ということは、わざわざ前者の方を考える必要はなく、後者の方を考えれば国数が少なくて済む。
セクション4の末尾で述べた通り、n国同盟の解法を直接使う場合は5国以上を考慮する必要はないんです。
更新履歴
- 2022. 2. 5.
- 新規公開。
- 2023. 3.31.
- ページ冒頭に難易度表記を追加。