1.怒涛の連鎖で候補数字の真偽が決まる。これがリンクの威力だ!
強いリンク/弱いリンク のページでは、全4種類のリンクを紹介しました。
このページでは、それらをどう使っていくのかを解説していきましょう。
セクション2までを読めばリンクを理解できます。3以降は無視してかまいません。
3以降を読むと、別の視点からリンクを理解できます。
では、解説していきましょう。
まず最初に、残念なお知らせをひとつ。
実は……
リンクは単体では役に立ちません。
うゎマジか😅
なんてこったい。4種類もリンクがあるというのに🥺
そうか、単体ではダメなのか。じゃぁ、どうすればリンクは役に立つんでしょう?
こうするんです。
たくさんの候補数字をリンクで数珠つなぎにして、一本のチェーンを作る。
その際、強いリンクと弱いリンクが交互に現れるようにする。
強-弱-強-弱- ……といった感じでリンクを強弱交互に連ねていって、一本の道筋を作る。
そうすると、リンク達は真価を発揮してくれるんです。
この道筋のことを チェーン と呼びます。
……まぁ、文字だけじゃ全然ピンとこないですよね😅
百聞は一見にしかず。このセクションでは X-Chain を例に解説していきましょう。
これは2マス間のリンクを知っていれば理解でき、Chain 系の中では最も易しい解法です。
では、X-Chain を紹介しましょう😊
以降、盤面には赤い矢印と青い矢印がありますが、それぞれ 強いリンク と 弱いリンク を表します。
1-1.リンクの真価・X-Chain
図1-1 は X-Chain という解法で紹介しているチェーンです。
すべて2マス間のリンクであり、6個の候補数字8が数珠つなぎになっています。
- 2マスA, Bの候補数字8は 強いリンク で結ばれている。
- 2マスB, Cの候補数字8は 弱いリンク で結ばれている。
- 2マスC, Dの候補数字8は 強いリンク で結ばれている。
- 2マスD, Eの候補数字8は 弱いリンク で結ばれている。
- 2マスE, Fの候補数字8は 強いリンク で結ばれている。
マスAからFまで、ぐるっと回って一本道ができていますね。
さらに、強いリンクと弱いリンクが交互につながっています。
この一本道がチェーンです。
ここから話がスタートします。
チェーンの先頭はマスAの候補数字8ですね。
そして、チェーンは強いリンクで始まっています。
そこで、ちょいと試しに仮定を1つ加えてみましょう。
- 【仮定】マスAに8は入らない。
すると、どうなるか。
この仮定が引き金となって、怒涛の流れが起こるんです!
- (仮定)マスAに8は入らない。
- すると、強いリンク によりマスBに8が入る。
- すると、弱いリンク によりマスCに8は入らない。
- すると、強いリンク によりマスDに8が入る。
- すると、弱いリンク によりマスEに8は入らない。
- すると、強いリンク によりマスFに8が入る。
なんと!
強いリンクや弱いリンクの性質が矢継ぎ早にはたらいて、マスAからの仮定がマスFに作用した!
マスFにまで到達した一連の流れ。
そのおかげで、チェーン両端に関してこういう関係が生まれるんです。
- マスAに8が入らない場合、必ずマスFに8が入る。
この事実が得られたことは大変重要です。
これにより次が成り立つようになり、話が進んでいくんです。
- マスA, Fの少なくとも一方に数字8が入る。よって、赤色マスから候補数字8を除去できる。
その辺の詳細は X-Chain のページに譲るとしましょう。
一見無関係に見える2つの候補数字。
この2つがチェーンで結ばれて関係を持つようになり、その関係のおかげで別のマスへと作用する。
Chain 系解法はこういう流れで話が展開していくんです。
リンク達の何が凄いのか?
それは、圧倒的な伝達力です。
リンク達が一列に並び、「仮定」が与えられれば、即座に論理展開を伝達してくれる。
マスAからFへと駆け抜ける、光の速さのバケツリレー。
これがリンクの真骨頂なんです。
ただ、注意がひとつ。
リンク達は 強-弱-強-弱- ……というふうに強弱交互につながっていないと力を発揮できません。
そうでないとバケツリレーは頓挫してしまい、そこから先のリンク達はただの置物と化すんです。
必ず強弱交互。これは絶対!
そこだけは気をつけてください。
1-2.チェーンを使った解き方の手順
いや〜、どうでしたか?
リンクの底力。
1個だけだとリンクは無力だけれど、団結するとこんなにも力を発揮するんです。
リンクは必ず複数連ねてチェーン状にして使います。
その一般的な手順を紹介しましょう。
- 候補数字をリンクで数珠つなぎにして1本のチェーンを作る。その際、強いリンクと弱いリンクは交互に現れるようにする。
- 最初のリンクが強いリンクなら、チェーン先頭のマスに「数字nは入らない」という仮定を試しに加えてみる。弱いリンクなら「数字nが入る」という仮定を加えてみる。
- すると、その仮定の下ではチェーン上の候補数字すべてに対して真偽が連鎖的に決まっていく。
- チェーン両端の位置関係などに応じて、論理展開が進んでいく。
手順 3. に「真偽」というワードがありますが、それについてちょいと注釈。
該当マスに数字nが入ることを 候補数字nは真である と表現します。
例えば、「マスAの候補数字1は真である」とは「マスAに数字1が入る」という意味です。
同様に、「マスAの候補数字1は偽である」とは「マスAに数字1は入らない」という意味です。
そして、上記の 3. 自体を 候補数字の真偽が連鎖する と言うことにしましょう。
図1-2 で示した流れ、これが「候補数字の真偽が連鎖する」です。
上記の手順、「ドミノ倒し」を想像するとわかりやすいかもしれませんね。
「仮定」という指一本で、リンクの道筋通りに候補数字の真偽がバタバタと決まっていく。
そんなイメージです。
2.リンクを補って考えよう
前セクションでは、リンクの使い方について解説しました。
強弱交互につなげ、仮定1つで怒涛の連鎖。リンク達の力は偉大でした。
チェーンにおいて「リンクは強弱交互」は絶対で、これを無視してチェーンは語れません。
ただ、一般の解説サイトではマス内部のリンクが省略されていることが多く、強弱交互には見えません。
このセクションではそういうチェーンについて解説していきます。
例として、解法 XY-Chain のチェーンで解説しましょう。
図2-1 がそのチェーンです。
マスAからマスDまでリンクでつながっているっぽく見えますね。
ただ、2マス間の弱いリンクしかありません。
- 2マスA, Bは 弱いリンク で結ばれている。
- 2マスB, Cは 弱いリンク で結ばれている。
- 2マスC, Dは 弱いリンク で結ばれている。
ええぇ? どういうことだ?
「リンクは強弱交互」じゃなかったっけ??
皆さんからクレームが殺到しそう😓
実は、このチェーンはマス内部のリンクが表示されていません。
全貌が露わになっていないんですね。
マス内部の強いリンクを補うと全貌が明らかになるので、ちょいと補ってみましょう。
チェーンの全貌は 図2-2 の通りです。
真の姿はこうだったんですね。
- マスA内部では候補数字2, 4が 強いリンク で結ばれている。
- 2マスA, Bの候補数字4は 弱いリンク で結ばれている。
- マスB内部では候補数字4, 3が 強いリンク で結ばれている。
- 2マスB, Cの候補数字3は 弱いリンク で結ばれている。
- マスC内部では候補数字3, 7が 強いリンク で結ばれている。
- 2マスC, Dの候補数字7は 弱いリンク で結ばれている。
- マスD内部では候補数字7, 2が 強いリンク で結ばれている。
マスAからDまで、コの字に巡る一本のチェーン。
24433772の順に8個の候補数字が数珠つなぎになっています。
このチェーン、よく見ると……おぉ、強弱交互じゃぁないですか!
やっぱりリンクは必ず強弱交互に連なるんです。
チェーンの先頭はマスAの候補数字2ですね。
そして、チェーンは強いリンクで始まっている。
というわけで、「マスAに2は入らない」という仮定を試しに加えてみましょう。
- (仮定)マスAに2は入らない。
- すると、強いリンク によりマスAに4が入る。
- すると、弱いリンク によりマスBに4は入らない。
- すると、強いリンク によりマスBに3が入る。
- すると、弱いリンク によりマスCに3は入らない。
- すると、強いリンク によりマスCに7が入る。
- すると、弱いリンク によりマスDに7は入らない。
- すると、強いリンク によりマスDに2が入る。
チェーン上の候補数字8個、矢継ぎ早に真偽が決まっていきました。
リンク達の華麗なバケツリレー。
素晴らしい!
一般のナンプレ解説サイトでは、マス内部のリンクは省略されていることが多いです。
だから、候補数字が数珠つなぎになっているようには見えません。
その場合は、マス内部のリンクを補って強弱交互のチェーンを復元させましょう。
そうすれば、連鎖の道筋が完全にわかります。
チェーンの全貌、そして、仮定からの連鎖の流れ。
この2つをしっかり押さえれば、もぅリンクとチェーンはマスターしたと言って良いでしょう。
あとは、実際の解法を理解していくだけです。
Chain 系解法をいろいろお楽しみください😊
次セクションからは、マス内部のリンクを補わずに理解する方法を説明していきます。
ただ、内容はややこしいです。
しかも、必ずしも理解しなければいけないというシロモノではありません。
リンクに慣れて余力が出てきた頃にでも読んでみてください。
3.マスが連鎖の橋渡し役になる
ここからは別の見方でチェーンを解説していきます。
マス内部のリンクを考慮からはずし、代わりにマスに注目します。
図2-1 の盤面をもう一度(図3-1)。
一般の解説サイトでよく見る XY-Chain の形です。
- 2マスA, Bの候補数字4は 弱いリンク で結ばれている。
- 2マスB, Cの候補数字3は 弱いリンク で結ばれている。
- 2マスC, Dの候補数字7は 弱いリンク で結ばれている。
- 4マスA〜Dはどれも候補数字を2個ずつ持っている。
マス内部のリンクは1つも考慮されていません。
そのかわり、「どのマスも候補数字は2個ずつ」という状況説明が加わっています。
図3-1 をよく見ると、チェーンはできていません。
4のリンク、3のリンク、7のリンク、3本あるだけなんですね。
ただ、マスBとCは2本の弱いリンクの間に挟まっている。なんだかマスがリンクを連結しているかのようです。
その連結部分も含めてリンク全体を見てみると、443377と6個の候補数字が連なって1本のチェーンを形成してそうに見える。
はて、こういう形でも連鎖してくれるんでしょうか?
チェーンの先頭はマスAの候補数字4。
チェーンは弱いリンクで始まっている。
では、「マスAに4が入る」という仮定を加えてみましょう。
- (仮定)マスAに4が入る。
- すると、弱いリンク によりマスBに4は入らない。3を入れるしかない。
- すると、弱いリンク によりマスCに3は入らない。7を入れるしかない。
- すると、弱いリンク によりマスDに7は入らない。
あらま!
候補数字の真偽が連鎖しちゃったよ!
3つのリンクは直接つながっているわけじゃぁありません。
それなのに、3つともたどって連鎖は完結した。
連結役のマスB, Cが裏で連鎖の橋渡しをしてくれて、リンク達のバケツリレーが完了したんです。
こういうふうに、2マス間のリンクをマスで連結させてもチェーンとして機能するんですね。
この形のチェーンでは、連結役のマスについて知っておかないとチェーンを理解できません。
そこで、次セクションでは連結役マスにスポットを当てて解説していきます。
4.連結役マスを持つチェーン
このセクションでは、連結マスを含むチェーンについて詳しく解説していきます。
連結マスを中心に説明します。
4-1.連結役のマスに必要な条件
図3-2 の盤面をもう一度(図4-1)。
リンクが直接つながってないにもかかわらず、マスAからDまで連鎖が完結したのでした。
2マスB, Cが連鎖の橋渡しをしてくれたんでしたね。
でも、疑問が1つある。
なぜ橋渡しができたんでしょう?
それは、マスBもCもちょうど候補数字を2個しか持っていなかったからなんです。
連鎖の途中でマスBの候補数字4が偽になったから、自動的に候補数字3が真になった。そのおかげで連鎖が継続した。
マスCでも同様のことが起こった。
だから、連鎖が完結した。
こういうわけなんですね。
逆に言えば、もしマスBやCが候補数字を3個以上持っていたとしたら、連鎖はそこで頓挫しちゃうんです。
となると、最後まで連鎖が続くためには、連結役のマスにも何らかの条件が必要だということがわかります。
では、その「条件」とは一体何だろう?
このセクションでは、その話をしていこうと思います。
連結役ということは、マスには2本のリンクが結びついているわけですね。前後に1本ずつです(チェーン両端のマスは除く)。
リンクには強弱の2種類があるので、マスの前後に結びつくリンクの組み合わせは全部で4通りあります。
4通りそれぞれに対して、連結役のマスに求められる条件があるんです。
その条件とは次の通りです。
- 強-強:リンクを結ぶ数字は異なる。
- 弱-弱:候補数字は2つしかなく、リンクを結ぶ数字は異なる。
- 強-弱:リンクを結ぶ数字は同じ。
- 弱-強:リンクを結ぶ数字は同じ。
前後のリンクの組み合わせに対して連結役のマスが上記の条件を満たしていると、リンクを伝って候補数字の真偽が連鎖されるようになるんです。
そこで、連結役のマスが上記の条件をそれぞれ満たしている時、そのマスは リンクを正しく連結している と言うことにしましょう。
図4-2 の連結役4マスは、どれもリンクを正しく連結しています。
連結役のマスがリンクを正しく連結していたとして、適切な仮定を1つ前のマスに加えてみます。
すると、どちらの場合でも、強いリンク・弱いリンクのおかげでポンポンと候補数字の真偽が2マスに連鎖していくことがわかります。
うまく連鎖していくさまを確認してみてください。
例えば、強-強 の場合はこういう流れで連鎖します。
- (仮定)最初のマスに数字aは入らない。
- すると、強いリンク により次のマスに数字aが入る。そのマスにbは入らなくなる。
- すると、強いリンク によりさらに次のマスに数字bが入る。
こういうふうに、正しい連結をすれば連鎖が保証されます。
図4-3 の4通りのどれかが次々と起こるから、チェーン上では怒涛の連鎖が起こる。
そういう仕組みなんです。
図4-3 では右方向へと連鎖しましたが、実は、左方向へと連鎖することも可能です(図4-4)。
そのため、チェーン上のリンクをすべて逆方向にしても連鎖を起こせます。
当然、真ん中のマスはリンクを正しく連結します。
リンクの双方向性を活用する機会はなかなかないですが、リンクの性質のひとつとして紹介しておきます。
4-2.実際に連鎖させてみよう!
実際の盤面を使って、図4-3 の通りに連鎖させてみましょう。
図4-5 のチェーンを使います。
6マスA〜Fからなるチェーンで、連結役のマスは4つあり、図4-2 で示した4通りすべて存在します。
- マスBは 強-強 の連結役。
- マスCは 強-弱 の連結役。
- マスDは 弱-弱 の連結役。
- マスEは 弱-強 の連結役。
4マスB〜Eはすべて連結役の条件を満たしていることを確認してみてください。
正しくリンクを連結しています。
- 強-強:リンクを結ぶ数字は異なる。
- 弱-弱:候補数字は2つしかなく、リンクを結ぶ数字は異なる。
- 強-弱:リンクを結ぶ数字は同じ。
- 弱-強:リンクを結ぶ数字は同じ。
では、候補数字の真偽を連鎖させてみましょう!
「マスAに1は入らない」と仮定します。
- (仮定)マスAに1は入らない。
- すると、強いリンク によりマスBに1が入る。マスBに8は入らなくなる。
- すると、強いリンク によりマスCに8が入る。
- すると、弱いリンク によりマスDに8は入らない。マスDに3を入れるしかない。
- すると、弱いリンク によりマスEに3は入らない。
- すると、強いリンク によりマスFに3が入る。
おぉ、マスFまで行った!
全部のマスが連鎖の橋渡しをしてくれた!
こういうふうに、リンクとマスが適切な関係を築いていれば滞りなく連鎖できるのです。
4-3.連結役マスの条件とマス内部のリンクは同じもの
セクション4-1では、連結役のマスについて解説しました。
正しくリンクを連結するためには、連結役のマスにも条件が求められる。
そういう話でしたね。
強-強 や 弱-弱 の場合、マスの条件は次の通りでした。
- 強-強:リンクを結ぶ数字は異なる。
- 弱-弱:候補数字は2つしかなく、リンクを結ぶ数字は異なる。
この条件、実は次のように言い換えることができるんです。
- 強-強:2つのリンクをマス内部の弱いリンクで連結できる。
- 弱-弱:2つのリンクをマス内部の強いリンクで連結できる。
強-強 の場合、チェーンに関わっている候補数字a, bが連結役マスに存在します。これは「aとbがマス内部の弱いリンクで結ばれる」ということと同じです。
その弱いリンクも含めると、強-弱-強 と3本のリンクが連結する形になりますね。
弱-弱 の場合、連結役マスには候補数字はaとbしかありません。これは「aとbがマス内部の強いリンクで結ばれる」ということと同じです。
その強いリンクも含めると、弱-強-弱 と3本のリンクが連結する形になりますね。
連結役のマスに求められる条件って、実は、マス内部のリンクとまったく同じ意味を持っているんです。
さて、上記のことがわかったところで、図4-5 にマス内部のリンクを追加してみましょう。
マスBとDに追加できますね。
ひとつながりのチェーンになりました(図4-9)。
このチェーンを先頭のマスAからたどってみると……
おぉ!
リンクが強弱交互に連なっている!
強いリンクと弱いリンクが交互に連なり、本来のチェーンになるんですね。
更新履歴
- 2022. 2. 5.
- 新規公開。
- 2023. 3.31.
- ページ冒頭に難易度表記を追加。