【幾何学ナンプレ】Law of Leftovers

 Law of Leftovers は、共通部分からはみ出た、いわゆる「残り物」な2つの領域を利用した解法です。
 その2領域には非常に密接な関係があり、それが大きな効果をもたらします。
 上級問題では猛威を振るうであろう、有名な解法です。
 (難易度:★★★★)

1.残り物には法則がある

 解法 Law of Leftovers を解くにあたって、知っておくべき法則が1つあります。
 まずは、その説明をしましょう。

図 1-1

 まずは、盤面内のブロック2個とヨコ2列で説明します。
 こういう状況だとしましょう。

  • ブロック2個とヨコ2列が交差している。

 交差状況がわかるように、ブロックを青色で、ヨコ列を黄色で塗ってみます。
 すると、2色が重なった部分は混ざって緑色になりました。
 重ならなかった部分は青色や黄色のまま。
 見た目には 青色黄色緑色 の3色に分かれていますね。

 このうち、緑色は不要です。
 青色黄色、この2つが重要です。
 この2領域には簡単かつ重要な法則があり、解く時にそれがとんでもなく役に立つんです。
 一体どういう法則なのか、探ってみましょう。

図 1-2

 青色緑色黄色緑色、両者に入る数字について考えてみます。
 まず、両者に入る数字の組み合わせはどちらも同じですね。
 数字1~9が2個ずつです。
 そして、緑色領域に入る15個の数字は両者共通です。

 となると、残りの青色黄色についても、これが成り立つんです。

  • 青色と黄色、両者に入る数字の組み合わせは同じである。

 青色緑色黄色緑色 に入る数字は同じ。
 緑色に入る数字も同じ。
 じゃぁ、残りの青色黄色に入る数字も同じになるね!
 こういうわけです。

 具体的なイメージは 図1-2 のような感じです。
 どちらにも数字1, 5, 8が入ってますね!

 青色領域黄色領域に入るメンバーは必ず同じである。
 実にわかりやすい法則です。

 この関係は 2ブロック/2列 に限りません。
 3ブロック/3列 や 4ブロック/4列 などでも成り立つんです。
 いくつか例を挙げてみましょう。

図 1-3

 例えば、図1-3 の右端。

  • ブロック3個とタテ3列の交差。

 おぉ、この場合もメンバーは同じ!
 数字3, 4, 7ですね!

図 1-4

 さらにもうひとつ。
 図1-4 の下端。

  • ブロック4個とヨコ4列の交差。

 本当にものの見事にメンバーが同じです。

 n個のブロック、そして、n個の列。
 両者が交差している時、残りの部分(共通でない部分)には同じメンバーが入る。
 これが解法 Law of Leftovers の核となる法則です。

 この法則、思いのほか大活躍します!
 例をいくつか挙げて、その活躍っぷりを解説することにしましょう。

2.あっちに入るのならこっちにも

 青色&黄色に入るメンバーは同じ。
 この事実からは、例えばこんなことが言えます。

青色領域に入った数字は必ず黄色領域にも入る。
逆も同様。

 というわけで、解法 Law of Leftovers を使う際、共通でない2領域に入っているメンバーをまずは確認しましょう。
 これは初歩的な解き方です。

図 2-1

 図2-1、盤面上端に注目しましょう。
 2ブロック&ヨコ2列の交差です。
 青色にも黄色にも数字が入ってますが、この時点で既に次の2つがわかっちゃいますね!

  • 青色領域のどこかに必ず数字8が入る。
  • 黄色領域のどこかに必ず数字5が入る。

 では、マスA, Bどっちに数字8が入るのだろう?
 ……と思って盤面を見たら、Bに8が入らないことは明らかでした😅
 というわけで、マスAに数字8が確定します。

図 2-2

 一方、数字5の方はどうでしょう?
 図2-2、マスC, Dどちらかに数字5が入るはず。

 残念ながら、この時点では5は確定しません。
 しかし、CもDも同じブロックにあるというのが好都合。
 こういうことが言えてしまう!

  • 数字5の入れられないマスが大量発生する。

 黄色領域の属するブロックがバツだらけ!(図2-2)
 この後、右から2番目のタテ列を見ると、マスDに数字5が確定します。

図 2-3

 別の場所でもやってみましょう。
 前図2-2 からさらに解き進めて、今は 図2-3。
 青色領域に必ず数字7が入るけど、その場所は決まりますね!

  • マスAに数字7が確定する。

 一方の領域に入ったメンバーは他方にも入る。
 この考えは、初歩的ながらも非常に効果的です。
 幾何学ナンプレの上級問題を解く時は、積極的に使っていきましょう😄

3.あっちに入らないのならこっちにも

 青色&黄色に入るメンバーは同じ。
 裏を返せば、入らないメンバーも同じです。

図 3-1

 図3-1、ブロック3個とタテ3列の交差です。
 青色3マスに注目しましょう。

 既存の数字は3と7、そして候補数字は4, 6, 9ですね。
 このことから、青色領域に可能な数字は3, 4, 6, 7, 9であると言えます。
 当然、これは黄色領域に伝播します。

  • 黄色領域に可能な数字も3, 4, 6, 7, 9のみである。

 それを踏まえつつ、黄色領域に目をやると……。
 候補数字について何か成り立ちそうですね!

図 3-2

 そうです。
 除去される候補数字があるんです。

  • 黄色領域から候補数字1, 2, 5, 8を除去できる。

 図3-2 だと、候補数字8を除去できました。

図 3-3

 もう一例やってみましょう。
 今度は4ブロック&タテ4列の交差です。

 どうやらお互いの領域から候補数字を消せそうですね!
 青色領域には候補数字8がない。
 黄色領域には候補数字3がない。
 3も8もメンバーにはなれなさそうだ……。

図 3-4

 というわけで、結論は……、

  • 青色領域から候補数字3を除去できる。
  • 黄色領域から候補数字8を除去できる。

 図3-4 だと、バツが4つ付きました。
 メンバーになれない数字は除去されるんですね。

 青色黄色の関係性は本当に役に立つ!
 メンバー外の数字をどんどん除去しちゃいましょう!

4.あっちの情報はこっちにも

 青色&黄色に入るメンバーは同じ。
 当然、メンバーにまつわる情報も同じです。

図 4-1

 ブロック3個とヨコ3列の交差です。
 青色領域黄色領域は 図4-1 の通り。
 特に、黄色の方はこういう状態です。

  • 黄色領域は1個のブロックにのみ属している。

 実は、この黄色領域が後に大きくはたらきます!

 さて。
 この状況からは、とある1マスに数字が確定します。
 それを見つけるために、青色領域に既に入っている数字4に注目しましょう。

図 4-2

 数字4が青色領域に入っているのだから、当然、黄色領域にも数字4が入るわけですね。
 そして、さっき述べたように、黄色領域全体はブロック1個に属している。
 だから、数字4についてこれが成り立つことになる。

  • 黄色領域に数字4は1個しか入らない。

 当然、この情報は青色領域へ伝播します。
 青色領域にも数字4は1個しか入れられない。
 ところが、数字4は既に入っている。
 ということは……、

  • 青色領域から候補数字4を除去できる。

 こうなるんです。
 図4-2 からは青色2マスにバツが付きますね。
 そのお陰で数字2の確定するマスが見つかりました😄

 こういうふうに、2つの領域では「各数字の個数」までもが共有されるんですね。

 最初は青色から黄色へ「数字4が入るよ〜😃」と伝わった。
 今度は逆に黄色から青色へ「それは1個だけだよ〜😆」と伝わった。
 双方向の情報交換、これもまた解法 Law of Leftovers の面白い一端かもしれませんね。

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