1.まずは核となるロジックから
Fireworks は、タテ1列とヨコ1列が舞台。
そして、その2列の交差箇所を含む3マスが中心となって話が繰り広げられます。
単体ではちょっと役に立ちにくいけれど、何枚も重なれば大きな力を発揮する。
そんな不思議な解法です。
解法 Fireworks には核となるロジックが存在します。
まずは、それを紹介しましょう。
Fireworks の世界はそこから始まります。
図1-1、青色ヨコ列とピンク色タテ列を見てみましょう。
どちらもずいぶんと数字で埋まってますね。
そのあおりを受けて、数字9の入り得る場所は少なくなっちゃいました。
詳しい状況は次の通りです。
- 青色ヨコ列において、数字9は★マスの4カ所にしか入らない。
- ピンク色タテ列も同様で、数字9は★マスの4カ所にしか入らない。
- 2列の交差点Aの属するブロックを見ると、★マスはタテヨコ3個ずつ並んでいる。ブロックの外側にはB, Cの1個ずつしか存在しない。
これら★マスのうち、重要なのは3つです。
タテヨコ2列の交差地点であるマスA、そして、左上ブロックの外側にある2マスB, C。
この3マスに対して、とある結論が得られるんです。
その結論とは……
- 3マスA, B, Cのうち最低1カ所に必ず数字9が入る。
検証してみましょう。
とりあえず★マスは7つあって、そのどこかに必ず数字9は入ります。
7通りを調べてみましょう。
まず、A, B, Cのどこか1カ所に入った場合は、上記の結論は明らかですね。
では、他のマスはどうか。
例えば、青色★マスのどちらかに数字9が入った場合。
この場合は、ピンク色タテ列ではマスCにしか9を入れられなくなりますね。
また、ピンク色★マスのどちらかに入った場合はどうか。
この場合は青色ヨコ列を見るとマスBに9が決まっちゃう。
結局、どの場合であろうとも、3マスA, B, Cのどこかには必ず数字9が入ってしまうわけなんです。
図1-2 で示した結論、これが解法 Fireworks の核となるロジックです。
これを firework と呼ぶことにしましょう。
このロジックを駆使して話は進んでいきます。
……が、実は残念なお話がありまして。
図1-2 の結論を得たところで、盤面には何の影響もないんです。
どこかのマスに数字9が確定するわけではないし、数字9の入らないマスが生じるわけでもない。
状況はまったく進まない。
単に「どこかに数字9が現れますよ〜😃」と言っているに過ぎないんです🥺
だから、解法 Fireworks はもう一歩進んだアプローチをとっていく。
「もし、firework が盤面に複数存在していたら……?」
これを軸に話を進めていくんです。
それをちょびっとお見せしましょう。
前図1-2 をもう一度(図1-3)。
あらためてこの図を見てみると、こんなことが言えるんです。
数字9だけじゃなくて、数字8でも同じロジックが成り立つよね!
実は、この盤面には2つの firework が存在していたんですね。
数字9と数字8。
2枚重ねだった!
となると、数字8も9もマスA, B, Cのどこかに必ず入るわけですね。
もちろん数字2個を同時にマスAに押し込むわけにはいかないから、8と9の少なくとも1つはマスBやCに入れざるを得なくなる。
こういう感じで話が進んでいくわけです。
2枚重ねでもちょっとピンとこないかもしれませんね😅
しかし、これが3枚重ねになると firework たちは大きな力を発揮するようになる!
それはセクション2で説明しましょう。
図1-1 では★マスが7個揃っていましたが、実は、7個より少なくてもかまいません。
図1-4 では2個少なくなっていますが、これでもOKです。
さらに言うと、3マスA, B, Cの一部が★マスでなくてもOKです。
それでも firework のロジックが崩れることはありません。
結論も同じです。
- 3マスA, B, Cのうち最低1カ所に必ず数字9が入る。
ただし、A, B, Cすべてが★マスでない場合は、左上ブロックで破綻が起きちゃいます。
だから、その3つのうち最低1カ所は★マスでなければいけません。
そこはご注意ください😊
2.こんな手筋があるよ!・その1 (Firework Triple)
ここからは、複数の firework を使った手筋を解説していきます。
まずは firework を3枚重ねした手筋です。
これは、ナンプレのフォーラムサイト『The New Sudoku Players' Forum』の Fireworks というトピックで実際に紹介された物です。
その盤面を拝借して解説していきましょう。
図2-1 を見てみましょう。
ここでは、候補数字1, 2, 3の分布に注目します。
- 青色&ピンク色2列において、候補数字1, 2, 3の分布は 図2-1 の通り。
- 数字1〜3の firework がピッタリ3枚重ねになっている。
数字1〜3はどれも firework の条件を満たしていますね。
そして、「ピッタリ3枚重ね」というのがこの盤面の大きな特徴です。
この3枚が大きな仕事をしてくれます。
ここからどう話が進んでいくんでしょう?
では、結論です。
こうなります。
- 3マスA, B, Cから候補数字4〜9をすべて除去できる。
図2-2 の通りです。
なんと、3枚の firework に関係する3マスがずいぶんとスリムになっちゃいました。
なぜこうなるんでしょう?
それは、3マスA〜Cに数字1〜3が1個ずつ割り当てられることになるからです。
それを解説しましょう。
まずは、セクション1で示した結論に照らし合わせてみましょう。
すると、こうなります。
- 数字1, 2, 3はどれも必ずマスA, B, Cのどこかに入る。
これは簡単にわかりますね。
ただ、これだけでは話が進展しそうに思えません。
しかし!
数字は3個であり、マスも3個です。
個数は同じ。
そこに気が付くと、ゴールが見えてくるかもしれません。
マスは3カ所しかない。
なのに、数字1, 2, 3を必ず全部入れなきゃいけない。
ということは……?
もぅ次のように数字を入れるしかないんです。
- 3マスA, B, Cに数字1〜3を1個ずつ割り当てるしかない。
3マスに数字3個が個別に割り当てられる。
言い換えると、数字3個が3マスを占拠する形になるんです。
おぉ、まるで3国同盟のようだ!
というわけで、3マスA, B, Cに数字4〜9の入る余地は完全になくなっちゃいました。
候補数字4〜9はすべてシャットアウト!
図2-2 の結論通りですね😊
いや〜、うまくできてるもんです。
数字1個だけだと3マスのどこに入るかわからんけれど、数字3個にしたら嫌でも3マスは満杯になっちゃう。
「3枚重ね」とは面白い手法だなぁと感じました😃
3.こんな手筋があるよ!・その2 (Firework Quadruple)
次は、少し複雑なパターンです。
4枚使ったパターンを紹介しましょう。
このパターンも先述のトピック Fireworks で紹介されていますが、元は別トピック Cobra Roll の題材となっていた図です。
この図を拝借して解説していきます。
図3-1 には青色2列と黄色2列がありますね。
両方とも firework です。
しかも、どちらも2枚重ね。全部で4枚あるわけですね。
状況は次の通りです。
- 青色2列で firework ができている。しかも、数字1, 2の2枚重ねになっている。
- 黄色2列も firework。数字3, 4の2枚重ね。
- 2種類の firework はマスP, Qを共有している。
1つの firework には要所が3マスありますが、それらを firework 達が共有し合っています。
全体として4つの firework が4つの要所A, B, P, Qを持っている。
そういう形になっているんですね。
この形からはどういう結論へと向かうんでしょう?
では、結論です。
- マスAから1, 2以外の候補数字をすべて除去できる。
- マスBから3, 4以外の候補数字をすべて除去できる。
- マスP, Qから1〜4以外の候補数字をすべて除去できる。
なんと、firework に無関係な候補数字が要所のマスから綺麗サッパリ消えてしまう!
図3-2 の通りになるんです。
なぜこうなるんでしょう?
それは、要所の4マスA, B, P, Qに数字1〜4が1個ずつ割り当てられる形になるからです。
それを解説しましょう。
まずは、セクション1の結論に照らし合わせてみます。
こうなります。
- 数字1, 2はどちらもマスA, P, Qのどこかには入る。
- 数字3, 4はどちらもマスB, P, Qのどこかには入る。
この2つが成り立ったおかげで、数字1〜4の分布について何かつかめそうな気がする!
ちょいと試しに要所4マスに数字を仮入れしてみましょうか。
まず青色 firework に数字1, 2を入れてみる。
例えば、A=1&P=2 としましょう。
その上で、今度は黄色 firework に数字3, 4を入れ……
あっ、もぅマスPに数字が入ってたわ。
じゃぁ、BとQに入れるしかないや。
なんと、要所4マスは数字1〜4で全部埋まってしまいました。
実は、どういう入れ方をしても結果は同じです。
要所4マスは必ず数字1〜4で埋め尽くされてしまうんです。
よく考えると、たった4カ所に数字1〜4を必ず全部入れなきゃいけない状況だと言えますよね。
もぅその4マスは……こうするしかないというわけです。
- 4マスA, B, P, Qに数字1〜4を1個ずつ割り当てる。
要所4マスに数字5〜9の入る余地は完全になくなりました。
候補数字5〜9は全部バッサリ斬っちゃいましょう!
また、マスAは青色 firework のマスだから、数字1と2のどちらかが入ります。
マスAの候補数字3, 4もバッサリです。
同様に、マスBでは候補数字1, 2もバッサリ。
最終的に 図3-4 の通りになりました。
図3-2 の結論通りですね😊
当ページでは3枚重ね・4枚重ねの手法を紹介しました。
この他にも Fireworks にはさまざまな手筋があります。
詳しくは『The New Sudoku Players' Forum』のトピック Fireworks をご覧ください。
4.「爆発」だなんて、なんて物騒な!
ここからは余談です。
この解法は 2021年11月にフォーラムサイト『The New Sudoku Players' Forum』の Fireworks というトピックで公開されました。
おそらく最新の解法です。
その解法には『Fireworks』と名前が付いたわけですが、なぜこの名前なんでしょう?
その由来をたどってみたいと思います。
由来を話す前に盤面が2つ必要なので、まずはそれをご紹介。
まずは 図4-1 を見てみましょう。
青色・ピンク色の2列において数字9の入り得るマスを探してみます。
すると、特徴的な形が現れました。
詳しい状況はこんな感じ。
- 青色ヨコ列において、数字9は★マスの3カ所にしか入らない。
- ピンク色タテ列も同様で、数字9は★マスの3カ所にしか入らない。
- 2列の交差点Aの属するブロックを見ると、★マスはすべてその中にある。
この形からは、マスAに1つの結論が生まれます。
その結論とは……?
- 交差地点のマスAに数字9が確定する。
理由は簡単です。
青色ヨコ列では、★マス3個のどこかに必ず数字9が入ります。
3個とも同じブロックの中にあるから、ピンク色★マスには9を入れられなくなる。
それを踏まえてピンク色タテ列を見ると、マスAに9が確定する。
こういうわけですね。
数字9はマスAの中に収まりました。
次に 図4-3 を見てみましょう。
図4-1 とほとんど同じだけれど、右下隅の数字9がなくなりました。
だから★マスがちょっとだけ増えた。
- 青色・ピンク色列において、数字9の入り得る場所(★マス)はそれぞれ4カ所ある。
- これら★マスのうち、左上ブロックの外側にあるのはB, Cだけ。
実は、これはセクション1の 図1-1 と同じ形です。
だから、この場合の結論はこうでした。
- 3マスA, B, Cのうち最低1カ所に必ず数字9が入る。
マスAのみにとどまらず、BやCに9の入る可能性が生まれたのでした。
最初の盤面では、数字9はマスAの中に収まった。
ところが、次の盤面では数字9はマスAの外に飛び出せるようになったわけですね。
そう。飛び出せるようになった。
解法 Fireworks は Fireworks というトピックから生まれました。
そのトピックの中に、ちょっと驚くような言葉が入ってた。
explode。
マスAからの飛び出しを投稿者さんは「explode」というワードで表現してたんです。
そして、そこから 図4-3 の形を firework と呼んでいた。
at the moment im just calling this pattern a firework, it "explodes" outward from the intersection, in a way😄
( im はおそらく I'm です)
交差地点から外へ爆発するだなんて、なんとまぁ物騒な😅
花火のように「ドォーンッ!」と華々しく飛び出す。投稿者さんはそんなイメージを持ってたのかもしれません。
「explode」という大げさな表現、インパクトあっていいですね。
なんか「firework」というワードを聞いた後だと、タテヨコ2列が火花のようにも見えてきた。
左上ブロックが花火玉のようにも見えてきた。
言葉や先入観に引きずられやすい私です😅
参考・参照
- The New Sudoku Players' Forum, 『Fireworks』,
http://forum.enjoysudoku.com/fireworks-t39513.html - The New Sudoku Players' Forum, 『Cobra Roll』,
http://forum.enjoysudoku.com/cobra-roll-t39294.html
更新履歴
- 2022. 2.12.
- 新規公開。
- 2022.10.10.
- 解法名を『Firework』から『Fireworks』に改称。
それに伴い、ページ内容を一部加筆・修正(用語「firework」を追加したのみで、話の本筋に変更はありません)。
- 解法名を『Firework』から『Fireworks』に改称。
- 2023. 3.31.
- ページ冒頭に難易度表記を追加。