1.Forcing Chain とは何ぞや?
Forcing Chain はチェーンをたどっていくことで結論を得る解法です。
もう少し具体的に言うとこんな感じ。
複数あるチェーンをそれぞれたどると、結果が複数得られる。
それらを総合すると、とある結論に至った。
結論のパターンが多岐に渡るので、ボリュームはたっぷり!
ただ、チェーンが複数必要になるため、非常に面倒を強いられるという……。
面白い解法なんだけれど、実戦ではまず使わない。
ちょい悲しい🥺
スタート地点に応じて Forcing Chain は何種類かに分かれます。
当サイトでは、3種類を紹介します。
- 候補数字からスタートする Forcing Chain。
- マスからスタートする Forcing Chain。
- 列やブロックからスタートする Forcing Chain。
このページでは、i. を解説していきます。
ii. と iii. については、Forcing Chain(マス/列/ブロック)をご覧ください。
さて、i. の Forcing Chain ですが、実は、パターンは大きく分けて2種類あります。
- 候補数字nが真であろうと偽であろうと、1つの結論に収束する。
- 候補数字nが真(または偽)だとすると複数の結果が同時に生まれ、それらの間で矛盾が生じてしまう。
……とまぁズラズラと書いてはみたものの、文字だけだとピンとこないですよね😅
もちろん、2種類とも例を挙げて解説していきます。
前者はセクション2で、後者は3で解説します。
2.行き着く先は1つの結論
「候補数字nが真であろうと偽であろうと、1つの結論に収束する」
まずはこのパターンです。
次の流れで進んでいきます。
- スタート地点の候補数字nからは2本のチェーンが出ている。
- 候補数字nが真である時、一方のチェーンをたどって結果を1つ得た。
- 候補数字nが偽である時、他方のチェーンをたどって結果をもう1つ得た。
- その2つの結果を総合すると、ある最終結論に至った。
具体的なパターンを紹介しましょう。
バリエーションは結構豊富なので、その中で簡単な例を 図2-1・図2-2 で4つだけ。
まずはパターン1。
マスAの候補数字6とマスBの候補数字4が2本のチェーンで結ばれている状況としましょう。
A=6なら、一方のチェーンを伝ってマスBに4が入る。
A≠6なら、他方のチェーンを伝ってマスBに4が入る。
候補数字6の真偽にかかわらず、マスBに数字4が確定するわけですね。
次はパターン2。
マスAの候補数字6とマスBの候補数字2を結ぶチェーンが2本。
A=6なら、一方のチェーンを伝ってマスBに2は入らない。
A≠6なら、他方のチェーンを伝ってマスBに2は入らない。
この場合、マスBから候補数字2を除去できます。
この2つは最も基本的なパターンです。
他にはこんなパターンもあったりします。
パターン3。
マスAの候補数字6からマスBへ向かうチェーンが2本。
A=6ならマスBに1が入り、A≠6ならマスBに7が入る。
この場合、1, 7以外の候補数字をマスBから除去できます。
最後はパターン4。
マスAの候補数字6から列Rへ向かうチェーンが2本。
A=6ならマスBに4が入り、A≠6ならマスCに4が入る。
この場合、列RではB, C以外のマスに数字4は入りません。
いや〜結構バリエーションあるでしょう!
他にもまだまだありますが、全部挙げてたら日が暮れちゃう😓
このページでは、パターン1とパターン4を解説していこうと思います。
2-1.どっちでも同じさ!
では、解説していきましょう!
以降、図の中には赤い矢印と青い矢印がありますが、それぞれ 強いリンク と 弱いリンク を表します。
図2-3、マスAの候補数字1を見てみましょう。
この候補数字からは2本のチェーンが出ています。
右方向へ進むチェーン、下方向へ進むチェーン。
この2本のチェーン、どちらもマスBの候補数字9が終点です。
つまり、マスAの候補数字1とマスBの候補数字9は2本のチェーンで結ばれている状態です。
候補数字1の真偽に応じて、それぞれどういう結果が生まれるのか。
図2-4〜図2-5 で個別に見ていくことにしましょう。
まず、マスAに数字1が入る場合。
A=1だと仮定して、下方向へチェーンをたどってみましょう。
- (仮定)マスAに1が入る。
- 弱いリンク により、マスPに1は入らない。
- 強いリンク により、マスPに9が入る。
- 弱いリンク により、マスQに9は入らない。
- 強いリンク により、マスBに9が入る。
最終的には「マスBに数字9が入る」という結果になりましたね。
これを軽く覚えておいてください。
次は、マスAに数字1が入らない場合。
A≠1だと仮定して、右方向へチェーンをたどってみましょう。
- (仮定)マスAに1は入らない。
- 強いリンク により、マスPに1が入る。
- 弱いリンク により、マスPに9は入らない。
- 強いリンク により、マスBに9が入る。
あら、同じ結果になった!
この場合もマスBに数字9が入るというわけですね。
マスAに数字1が入るか否か、どちらかが成り立ちます。
しかし、どちらであろうとも同じ結果になった。
というわけで、次の結論が得られるんです。
- マスBに数字9が確定する。
2-2.列やブロックに影響が!
図2-7、マスAの候補数字7からは2本のチェーンが出ていますね。
一方はマスBの候補数字3へ向けて。
もう一方はマスCの候補数字3へ向けて。
その2マスB, Cは同じタテ列に属しています。
候補数字7の真偽に応じて、結果をそれぞれ導いてみましょう。
図2-8〜図2-9 で見ていきます。
まず、マスAに数字7が入る場合。
A=7だと仮定して、上方向へチェーンを歩いてみます。
- (仮定)マスAに7が入る。
- 弱いリンク により、マスAに1は入らない。
- 強いリンク により、マスPに1が入る。
- 弱いリンク により、マスPに3は入らない。
- 強いリンク により、マスBに3が入る。
「マスBに数字3が入る」という結果になりましたね。
次は、マスAに数字7が入らない場合。
A≠7だと仮定して、右方向へチェーンを歩きます。
- (仮定)マスAに7は入らない。
- 強いリンク により、マスPに7が入る。
- 弱いリンク により、マスQに7は入らない。
- 強いリンク により、マスRに7が入る。
- 弱いリンク により、マスRに3は入らない。
- 強いリンク により、マスCに3が入る。
おぉ、今度は「マスCに数字3が入る」でした。
結果が2つ揃いましたね!
マスAに数字7が入るか否か、どちらかが成り立ちます。
7が入る場合、マスBに3が入る。
7が入らない場合、マスCに3が入る。
ということは、「2マスB, Cのどちらかに必ず数字3が入る」ことになるんですね。
それを踏まえてピンク色タテ列を見てみると……
結論はこうなるんです。
- ピンク色タテ列において、B, C以外のマスから候補数字3を除去できる。
3.行き着く先は矛盾
「候補数字nが真(または偽)だとすると複数の結果が同時に生まれ、それらの間で矛盾が生じてしまう」
次は、このパターンです。
次の流れで進んでいきます。
- スタート地点の候補数字nからは複数のチェーンが出ている。
- 候補数字nが真(または偽)だと仮定すると、各チェーンをたどって複数の結果を得た。
- しかし、それらの結果を総合すると、矛盾や破綻が起きてしまった。
もぅちょっと具体的に説明しましょう。
結果のバリエーションがすごく豊富なので、簡単な例に絞って 図3-1・図3-2 で4つ紹介します。
まずはパターン1。
マスAの候補数字6とマスBの候補数字4が2本のチェーンで結ばれている状況としましょう。
A=6だと仮定すると、一方のチェーンを伝ってマスBに4が入る。
ところが、他方のチェーンを伝うとマスBに4は入らない。
矛盾が起きた😅
というわけで、A=6であってはいけません。
マスAから候補数字6を除去できます。
次はパターン2。
マスAの候補数字6とマスBの候補数字3, 7を結ぶチェーンが2本。
A=6だとすると、一方のチェーンを伝ってマスBに3が入る。
ところが、他方のチェーンを伝うとマスBに7が入っちゃう。
あぁ、マスBには数字3も7も入ることに……。矛盾です😅
というわけで、マスAから候補数字6を除去できます。
他にはこんなパターンもあったりします。
今度は、偽と仮定した場合で説明しましょう。
パターン3。
マスAの候補数字6はマスBの全候補数字とチェーンで結ばれています。
A≠6だとすると、各チェーンを伝ってマスBにはすべての数字が入らなくなってしまった。破綻です😅
というわけで、A≠6であってはいけません。
マスAに数字6が確定します。
最後はパターン4。
マスAの候補数字6から列Rへ向けてチェーンが2本。
どちらも候補数字5と結ばれています。
A≠6だとすると、各チェーンを伝ってマスBにもCにも5が入る。
うゎ、列Rに数字5がダブってしまう! 不合理です😅
というわけで、マスAに数字6が確定します。
いや〜、バリエーションが豊富!
他にもまだまだありますが、とりあえずここまで。いちいち挙げてたら 21世紀が終わっちゃう😅
このページでは、パターン2とパターン3を解説していこうと思います。
3-1.数字がバッティング!
図3-3、マスAの候補数字9を見てみましょう。
この候補数字からは2本のチェーンが出ています。
左下方向へ進むチェーン、上からぐるっと回り込むチェーン。
この2本のチェーン、どちらもマスBへ向かっています。
一方は候補数字4が終点。
もう一方は候補数字8が終点。
マスAの候補数字9はマスBの候補数字2個とそれぞれチェーンで結ばれている状態なんですね。
チェーンは2本とも弱いリンクで始まっています。
そこで「マスAに数字9が入る」と仮定して話を進めていきますが、それぞれどういう結果が生まれるのか。
図3-4〜図3-5 で個別に見ていきましょう。
まずは、左下方向へチェーンを進んでみましょう。
- (仮定)マスAに9が入る。
- 弱いリンク により、マスPに9は入らない。
- 強いリンク により、マスQに9が入る。
- 弱いリンク により、マスQに4は入らない。
- 強いリンク により、マスBに4が入る。
マスBに数字4が入る。
1つめはこういう結果になりましたね。
次は、上からぐるっと回り込んでみましょう。
- (仮定)マスAに9が入る。
- 弱いリンク により、マスPに9は入らない。
- 強いリンク により、マスPに2が入る。
- 弱いリンク により、マスQに2は入らない。
- 強いリンク により、マスRに2が入る。
- 弱いリンク により、マスRに8は入らない。
- 強いリンク により、マスBに8が入る。
マスBに数字8が入る。
2つめはこんな結果でした。
ん? あれ?
ちょっと待てよ?
もしかしてマスAに数字9が入ったら……マズいよねこれ!
だって、チェーンを両方たどってマスBに4と8が一遍に入っちゃうじゃん!!
ああぁ、こりゃダメだ😅
矛盾が起きちゃう😅
こうなると、「マスAに9が入る」という仮定は間違いだったと言わざるを得ません。
というわけで、こういう結論に至るんです。
- マスAから候補数字9が除去される。
3-2.そして誰もいなくなった
図3-7、盤面右下隅のマスAを見てみましょう。
この候補数字9からは3本のチェーンが出ています。
黄色マス経由で上から回り込むチェーン。
緑色マス経由で左上方向へ進むチェーン。
水色マス経由で左から回り込むチェーン。
この3本のチェーン、どれもマスBへ向かっています。
そして、そのマスBの候補数字はすべてチェーンの終点です。
マスAの候補数字9はマスBとチェーンで三重に結ばれている状態なんですね。
チェーンは3本とも強いリンクで始まっています。
「候補数字9は入らない」と仮定して、結果をそれぞれ洗い出してみましょう。
図3-8〜図3-10 で個別に見ていきます。
……っていうか、盤面がゴチャゴチャ😅
リンクがたくさん絡むとこうなっちゃうんです。
見にくくてホントすいません😅
まずは、黄色マスを経由してみましょう。
- (仮定)マスAに9は入らない。
- 強いリンク により、マスPに9が入る。
- 弱いリンク により、マスQに9は入らない。
- 強いリンク により、マスQに1が入る。
- 弱いリンク により、マスBに1は入らない。
マスBに数字1は入らない。
まずはこういう結果でした。
次は、緑色マスを経由してみます。
- (仮定)マスAに9は入らない。
- 強いリンク により、マスPに9が入る。
- 弱いリンク により、マスPに3は入らない。
- 強いリンク により、マスQに3が入る。
- 弱いリンク により、マスBに3は入らない。
マスBに数字3は入らない。
この場合はこういう結果ですね。
最後は、水色マス経由です。
- (仮定)マスAに9は入らない。
- 強いリンク により、マスPに9が入る。
- 弱いリンク により、マスQに9は入らない。
- 強いリンク により、マスQに7が入る。
- 弱いリンク により、マスBに7は入らない。
マスBに数字7は入らない。
最後はこうなりました。
さぁ、3つの結果が揃いました!
この3つの結果を総合すると……あれ? マズいことが起こる!?
もし、マスAに9が入らないとすると……
マスBから候補数字1が消え……
マスBから候補数字3が消え……
マスBから候補数字7が消え……
そして誰もいなくなった。
さながら兵隊島での顛末のごとく、残されたのは誰一人いないマスBなのでした。
もちろん、これは破綻です😓
だから、「マスAに9は入らない」という仮定は間違いだということになりました。
結論はこうなります。
- マスAに数字9が確定する。
図3-11 のようにアガサ・クリスティ式にキマったりすると Forcing Chain はホント面白い!
でも、見るからに面倒くさい解法だというのが伝わってきますよね。
玉のような Forcing Chain にはこういう致命的なキズがある。
実戦では Forcing Chain はまったくと言っていいほど使われないんです。
逆に言えば、こういう複雑な Forcing Chain を使って自力で超上級ナンプレを解いたらホントすごいですよ!
一生に一度あるかないかの快挙だ!
その時はもぅもぅもぅドヤ顔で自慢しちゃってください😁
更新履歴
- 2022. 2. 5.
- 新規公開。
- 2023. 3.31.
- ページ冒頭に難易度表記を追加。