暁星山岳部のあゆみ 年代
●2001年3月 吉野興一
上野駅発車7時36分。途中4回の乗り換えで福島駅到着が12時20分。山岳部の顧問をはじめて20年になるが、質素倹約の精神で、特急、急行にはいっさい乗らず、ひたすら各駅停車の旅である。さいわい、夏休み中には青春18きっぷが発売されていて、これだと一人2300円でどこまでも行けるから、私達のようなグループにはもってこいである。福島駅から1時間10分で浄土平に到着。結局、この日は6時間以上も乗り物に乗っていた計算になる。翌朝3時半に起きると星がみえた。
山深いところに来た。一切経山の山頂についてみて周囲を眺めると、どこもかしこも山、山、山。しかも東北独特のなだらかでスケールの大きい山容なのだ。ここでは時がゆっくりと流れているように錯覚する。歩行行程8時間半で宿泊予定地の弥兵衛小屋に着く。中学1年生の二人は本当によく歩いた。小屋から10分の水場は、雪解けの水で凍るほど冷たくうまい。周囲には人工物がいっさいない。人もいない。最高の環境の水場で、おまけに展望がよい。別天地といっていい。
西村がばてているので、翌日からは荷物を上級生に分配する。三日目は快晴のもとの快適な山旅であった。人形岩でフルーツ缶詰を食べてトカゲして、もうこの世の天国を味わいながら、最高峰の西吾妻山頂には8時半に到着。西大峰から一気に下って小野川湖のキャンプ場に着いたのは午後の1時半を過ぎていた。夕食の準備開始の時間まで行動自由というと喚声をあげながら湖に遊びに行く。なんといってもまだ中学生たちなのである。その晩の食事には、生徒の釣った3匹の小魚が添えられて、皆でひとはし交代で食べた。夏合宿には珍しくたき火をおこし、かつてひと時代昔にはやったコンパを彷彿とさせる雰囲気の中、消灯は結局夜の9時になってしまった。雄大な景色を堪能して、しかも予定のコースをほぼ完歩して、おまけに湖で水遊びやたき火までして、部員諸氏にとってはまったくタマラナイ楽しい合宿だったに違いない。これはこれでいいのだ、と私は思うのである。

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