対談 2010億光年の彼方から



1988年8月1日
南房総 館山、レストラン・コンコルド
 真夏の昼下がり





山本: 本日は、佐久間アンプの裏話と言うか、なぜこんな不思議な物体ができてしまったのか、という問題について検討していきいます。
一同 : たいそうな(笑い)
山本:  それでは、まず、佐久間さんに、コンコルドができたあたりからお聞きしたいと思います。
佐久間:  それでは何でここにコンコルドが存在したか、その必然性について。
えー、2010億光年の彼方から、私エイリアンの先鋒として地球にやってまいりました。上空から見おろすと非常によいところで、私たちエイリアンの感覚から言いますと1億年や2億年はまばたきするような時間ですが、じゃあここでちょっとしばらく人間に身をやつして商売してみようかと...土地も安かったし。(笑) 昭和43年の8月5日に開店しました。
山本:  すると今年で20年?(1988年当時)
佐久間:  そうですね、ちょうど20年になります。それでとにかく、開店する前から非常に音楽が好きだったことと、今のように音響工学は盛んな時代ではなかったのですが床だけはしっかりしておきたいと思い生コンを10トンほど...(笑) 地下5.3m関東ローム層にかなり近いところまで入れました 。
山本:  コンコルドという店の名なんですが、これにはどういういわくが?
佐久間:  これはぼくが館山に店を出す前、原宿のコンコルドというレストランに2年いて、そこのおやじさんが店をやったらぜひこの名前をつけろと言って。
ぼくは「佐久間屋」とか(笑)「ハンバーグ屋」とか(笑)そういう名前にしたかったんだけど、そこの社長が怖い人で、まあ逆らっても損なんで(笑い)
山本:  コンコルド(根固留土)って漢字で書いてありますが、由来は?
佐久間:  あれはこの店を開店するときに僕の父が漢文をもじって「根固まって土宝となる」つまり商売が定着するようにという願いを込めつけてくれたんです。なんて言うんですかねぇ、一所懸命汗水たらしてここに根を下ろせ、エイリアンから足を洗えという親父の気持ちからです。20年前の館山だとコンコルドという名前は非常に斬新で、コンクリートとかコンドームとかよく言われました。
山本:  20年前のこの辺はどんな感じでしたか?
佐久間:  お店の前にある駐車場とか、とにかくここら一帯は全部湿地帯みたいな草ボーボーのところでした。
山本:  すると草ボーボーの真ん中にハイカラな飯屋ができたということですか?
佐久間:  流行りましたよ! 1日100万円は売上あたんじゃない。(笑)

後藤 :  佐久間さんのような経歴を持っている人はオーディオ界にはいないと思うんですが、それが音に現われているのでは?
佐久間:  人間とエイリアンとの差じゃないでしょうか。みなさんは立派な人間だか ら。僕は2010億後年の彼方からきたエイリアンだから。
山本:  そのエイリアンの店ですが、昔からいろんな人が出入りしていて、思い出に残るお客さんとかあると思うんですが。
佐久間:  とにかくみんな酒は強かった。一人でビール10本飲んで酔っぱらうのは仲間には入れなかった。和田君なんてね、今は東京の方のかなり大きな会社の係長だか課長だかになちゃった人なんだけど、トランペット自分で吹いてね...それに、革命家はいっぱいいましたね。自称だけどね。

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