一枚の写真のこと・・・




夜、玄関のピンポンが鳴った

こんな時間にどなたかしら?

と、思いながら玄関のドアを開けると

ミホチャンちのおじさんだった

ミホチャンとは、二軒先のお宅の猫ちゃんで、
以前、『ある日』の『秋のお散歩』秋のお散歩ページに載せた猫ちゃんのことなのだけれど・・・


・・・ずいぶん以前のこと・・・、

あれはまだうちのムーちゃんが来て間もない頃のこと・・・
ペルシャっぽい感じのミホチャンは、フランクという、トラ模様の男の子の猫ちゃんと一緒に飼われていた。
そのお宅のお嬢さんが、アメリカに行った時に連れて帰ってこられたと、お向かいのピアノの先生から聞いていた

ムーちゃんとフランクはどういうわけか気が合ったらしくって?
よく家の前の道の真ん中で、まるでお見合いの様に(笑)
大きなフランクとちっちゃなムーちゃんが向かい合ってじっと座っている様はほんとに見ていて微笑ましかった。

ミホチャンはというと、とってもシャイな猫ちゃんで
通りがかりに声かけしてもすぐに姿を隠してしまちゃって。。。

このところフランクの姿が見えないなと、気づいたのは少し経ってからだった
ムーちゃんと仲良しだったので気になっていた

飼い主の奥さんとお会いした時、奥さんの方から
「うちのお兄ちゃんが死んじゃって!もう、泣き続けて目が腫れちゃって・・・」
と、言われたとき、正直驚いた!
息子さんがお二人いらっしゃるお宅だったので

よくよく聞いてみると、フランクはミホチャンのお兄ちゃんということだったのでそうおっしゃったのだった
「弱いのに喧嘩しては帰ってきて、その傷がもとで・・・」
とうふうなことを、涙ながらに話されたのを覚えている。。。



このお宅のご一家には
本当に、いつも明るい、たとえて言うなら”ひまわり”のような印象を受けていた。

気さくな明るい奥さんと気のいいのがお顔に出ているといった感じの、素敵なだんな様、
ハンサムな息子さんは、朝出勤時、うちの前の道をいつも走りながら
気持ちいいほど爽やかに挨拶をしてくれた

フランクが亡くなってからミホチャンは徐々にだったけれど、私が通ると近寄っても奥に引っ込まなくなり
「ミ ホ チャンッ!」と声かけすると、こちらを見てくれるようになった。

デジカを持ってお散歩していた私はそんなミホチャンをナイスな感じでカメラに収めることができた。
あまりかわいく撮れたので、プリントアウトしてミホチャンのお宅へ持っていった    

   しばらくして、いっぱいのお野菜か何かを持ってきてくださって、
   それが、あのミホちゃんの写真のお礼と気付くのにちょっと時間がかかった。
   それほどに喜んでもらえたなんて考えてもいなかったから

     でも、ほんとうにそんなことを忘れてしまうくらいの年月があれから経ってしまっていた。。。


そうして、あの夜玄関のピンポンが鳴って・・・
 
ミホチャンのおじさんが、立っておられた。
大きな箱をお持ちになって玄関に立っておられた。

奥様があまり良くないこと、病院のベッドであの写真にとっても慰められているということ、
ミホチャンはもう今年亡くなってしまったこと

奥さまの経過を涙ぐみながら語られた。。。

「あと三カ月と言われたけれど、なんとかそれを越えました」
私は聞きながら涙が出てきて仕方がなかった。

あんなに爽やかなご家族にこんな現実は似合わない!
神様は残酷だ と思った。

こんな時に話す言葉は出てこない・・・
何を言っても言葉が宙に浮いている感じで・・・
気持が胸の奥でウっと詰まったようなそんな感じで・・・


手に持っておられた大きな箱を 「気持だから」 と、下さった。

   後でその箱を開けると、中にはいーっぱいiお菓子が入っていた。

その、いっぱいのお菓子を見て、

   私はご一家のいろんな思いを、いろんないろんな思いを感じた。


そういった形でミホチャンの写真の気持ちをいただいて


悲しみと暖かさとを同時に感じた


2007/9/26