MAGiC TOUCH - MAGiCTalk#12
*Story 12 ”偉い人の離脱” (Feb25,2007)
 最近、某ゲームメーカーの偉い人が退社されたということがネットで騒がれていたりしました。ネットを見た限りほとんどの意見が退社を惜しむ声だったようなのですが、実際のところその意見は正しいのでしょうか?
 自分もこの業界暦が長いもので、いろいろと勘繰りたくなるものです。そのあたりをちょっとだけ掘り下げてみようと思います。最初にお断りしておきますがあんどの主観ですので、今の業界が全てそうだということではないので 注意してください。

 あんどのいままでのゲーム開発を通じて(&ゲーム業界のお知り合いの話を総合して)感じた、偉い人の立場というものは大体以下の3通りに分類できると思っています。

 (1)現場に積極的に関わってくる人(プラスになる人)。
 (2)現場に積極的に関わってくる人(マイナスになる人)。
 (3)現場とは距離を置き、ほとんど開発に関係の無い人。

(1)は判りやすいというか、通常のゲーム開発の場合はほぼコレに当てはまります。最初から作りたいものを作っているので積極的に意見をだし、良いゲームを作ろうとする偉い人のパターン。偉い人の熱意が開発陣に伝われば当初の予定よりも良いものが作れるというゲーム開発では理想的な偉い人です。

(3)はユーザーからはあまり判らないのですが、開発陣でさえスタッフロールを見たときにその存在をはじめて知るような、開発中には一度も見たことが無かったりするような偉い人のパターン。ある意味害が無い偉い人ともいえますね。場合によっては開発当初は名前を聞いていたのに終盤になるとスタッフの偉い人の欄から消えていたということも…。

(3)にも十分問題はあるのですがゲーム開発でもっとも厄介なのは(2)のパターン。
(2)を簡単に言うと、自分の意見を出してくれるのはいいのですが、自分のプロジェクトなのに予算や期間を把握していないで自分の意見を押し付けて現場を混沌に陥れる偉い人のパターン。ゲームを改良するのなら良いのですが、誰が見ても改悪の方向に進路修正をする人もいます。
 特に偉い人レベルが高いと、ゲームの質を落としてでもその(無茶)意見を聞き入れなくてはならないという場合が多々あります。結果的には、「逆にこの人がいなければもっと良いゲームになったかもしれない」ということもあるのです。また、発売予定のゲームが延期になる原因の1つでもあったりします。

 そこで最初の話に戻りますが、その退社した人が(1)に当てはまるならば本当に惜しいことをしたと思いますが、これが(2)や(3)だった場合には、そのメーカーは残ったスタッフでもっと良いゲーム作りができるかもしれませんよね。

 と、今回は(あんど的に)ちょっと危険なお話でした。ゲーム開発というのはまれに(2)や(3)に遭遇することがあります。しかし、うまくその事柄を回避するというのもゲーム開発のノウハウなのではないかと最近は考えるようになりました。過去に(2)のパターンに遭遇したことがあったのですが、そのときには偉い人への抗議の意味を込めて坊主になって会社に行ったこともありました。しかし、そのときの偉い人はまるっきり自分が原因とは思っていなかったようで、「あれ?あんどさん、髪切った?どうしたの?」とサラッと言われた時には、ドス黒い感情が…。あぁ、若かったなぁ。

 なお、最初にお断りしたように、あんどの個人的な意見です。また今現在の団体および個人等を特定して書いているわけではないので、その辺りお間違えの無い様によろしくお願いし申し上げます>特にゲーム業界の関係者各位(苦笑)

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