MAGiC TOUCH - MAGiCTalk#07
*Story 07 ”番外編 夢” (Jun20,2002)
 よく友人に『おまえの場合、「仕事」≒「世に言う無職」だろ?』と、ゲーム業界の人間が聞いたら半分は怒り出すようなことをよく言われます(多分残り半分の人は、「そうかも」って言ってくれるかもしれませんが)。

 先日仕事に詰まっていた時、ふとあんどの夢って何だったかな?と一種の逃避行動をとっていました。
 夢、誰でも子供のころ何かしらにあこがれたことはあるでしょう。あんどの場合将来の夢は、トラックの運転手か、ゲームプログラマーと、ある意味このころから人生を捨てていたのかもしれません(苦笑)。
 現在あんどの職業は、子供のころの夢を現実にかなえたコンシューマゲームプログラマです。が、しかし・・・・、あの当時本当になりたかったのは、今やっている仕事なのでしょうか?
 実は、あのころ夢見ていたプログラマとはかけ離れた仕事をしている今日この頃です。考えても見てください、あんどが子供の時分、今のようなゲームが家で遊べるなんて想像できたでしょうか?

 仮に20年前としておきましょう(2002年現在)。20年前というと、任天堂のファミコンが出るちょい前ですね。
 このころのゲームといえば「ゲームセンター」のゲームがメインで、家庭用ではやっとパドルで遊ぶテニス(ピンポン)ゲームから脱却してカセットビジョン(エポック)、ぴゅー太(トミー)が登場した時期。まだまだ家庭用ゲームとアーケードゲームとの差は大きい時期でした。
 ゲームセンターではこの時期、今までのゲームとは一線を画すゲームが登場しました。NAMCOのXEVIOUS。そう、あんどがプログラマになりたかったのはこの「ゼビウス」を作りたかったからです。
 ありがたいことに、某ゲームプロジェクトのときにこのXEVIOUSを作った遠藤雅伸氏と、短い期間でしたがお仕事させていただいたり、ある意味夢がかなった感じはあるのですが(笑い)。

 で、本題に戻りますが、多分今のあんどに、XEVIOUSを作れといわれれば作れるかもしれません(いまのPC上で、データを用意してもらって、企画もすべてあるとします)。でも、もしつくったとしても、だれも「すごい」とは思わないでしょ?
 高校時代、別に勉強ができなくても、三角関数(sin,cos,tan)がわかれば、ある程度ゲームは作れました。しかし今では、2D全盛期のころとは違い、ゲームが3D化しつつあります。そうなってくると三角関数だけでゲームが作れるという時代ははるか過去の話で、行列・内積・外積数え上げたらきりがないくらいの数学の知識が必要になってきます。
 数学の知識・・、行列なんか、学校で習ったこともない上に、基本がわかっていないので、苦労しっぱなしです。

 数学以外にも、使用言語の変化もあります。前世代前までのゲーム機(PS/N64)では、C言語での開発だったのですが、今現在はC++での開発がメインとなってきます。さらにその前の世代では(MD)アセンブラだったので、ある意味進化しているといえば言えるのですが、今までのゲーム開発ノウハウがぜんぜん生かせなくなっているという事実もあります。
 昔はスピードを上げるためにデータをテーブル化してアクセスしたりしていましたが、現在のゲーム機ではその値を計算で求めたほうが速かったり、整数演算よりも浮動少数演算のほうが速かったり、自分で作っていて気持ち悪かったりします。

 はたして、あと何年この業界にいられるのか・・・・。技術の進歩は良いことなのか、悪いことなのか、少なくともプログラマには厳しい時代になっている感じがします。
 夢はかなったのか?自分が現役を引退するときになるまで、その答えはわからないのかもしれません。さて、仕事に戻りましょうか。

※某ゲーム発売記念(June20,2002)。
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